欧州競馬の上半期を締めくくるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝2390メートル)が7月29日(土曜)、英国のアスコット競馬場で開催されます。

20年以降は3頭、5頭、6頭とやや寂しい頭数で行われましたが、今年は3歳、古馬ともボリューム厚く、久しぶりに10頭以上の参戦が見込まれています。

今年の注目はなんといってもディープインパクトのラストクロップで、英愛ダービーを連勝したオーギュストロダンでしょう。英ダービーを期待に応えて快勝、メンバーが楽になった愛ダービーも確実にものにして、この路線の3歳馬のトップに君臨しました。

キングジョージの負担重量は古馬の牡馬・セン馬が61キロで、3歳馬はそれより5キロも軽い56キロ(牝馬はそれぞれ1キロ減)と有利。首尾良く優勝をもぎとれば、英愛ダービーとキングジョージの3つを制した史上8頭目(これまで00年ガリレオ、91年ジェネラス、81年シャーガー、79年トロイ、77年ザミンストレル、75年グランディ、70年ニジンスキーが達成)の名馬誕生となります。

これと1番人気を競うのは英ダービーの2着馬で、ロイヤルアスコット開催のG2キングエドワード7世S(芝2400メートル)を完勝したキングオブスティール(牡3、父ウートンバセット)です。英ダービーではゴール前でオーギュストロダンにねじ伏せられましたが、前走、アスコット競馬場を舞台にしたキングエドワード7世Sでは残り200メートルで大外から一気の末脚を爆発させて、2着したハーツクライ産駒のコンティニュアスに3馬身半差をつけました。オーギュストロダンにないコース経験を生かせば、というのがブックメーカーの見立てのようです。

古馬の代表は4歳牝馬のエミリーアップジョン(父シーザスターズ)です。シーズン初戦のG1コロネーションC(芝2410メートル)を快勝、続くG1エクリプスS(芝1990メートル)は3歳馬パディントンに半馬身差の2着に敗れましたが、得意距離に戻れば侮れません。昨年のこのレースでは不可解なしんがり負けを喫しましたが、同じくアスコット、芝2390メートルのG1英チャンピオンズフィリーズ&メアズSでは直線堂々と抜け出して後続を3馬身ちぎりました。

昨年の覇者パイルドライヴァー(牡6、父ハーヴァーウォッチ)は、ロイヤルアスコット開催のG2ハードウィックS(アスコット、芝2390メートル)で11カ月ぶりの復活勝利を飾りました。昨年は鮮やかでしたが、今年はメンバーもそろっていて連覇の壁は厚くなったような気がします。

昨年、愛ダービー優勝から臨んだキングジョージは6頭立ての5着に負けたウエストオーバー(牡4、父フランケル)もリベンジ出走します。今年は初戦のG1ドバイシーマクラシックがイクイノックスの2着、英国に戻ってG1コロネーションCもエミリーアップジョンの2着でしたが、続くG1サンクルー大賞(サンクルー、芝2400メートル)に優勝、上昇気流に乗っての参戦。今年好調なフランケル産駒であり、不気味な1頭です。

これ以外にもG3ブリガディアジェラードS(サンダウン、芝1990メートル)で昨年の英ダービー馬デザートクラウンを下したフクム(牡6、父シーザスターズ)、G1タタソールズゴールドC(カラ、芝2100メートル)に勝って、ロイヤルアスコットのG1プリンスオブウェールズSの2着から駒を進めるルクセンブルク(牡4、父キャメロット)、約1年ぶりの実戦となったブリガディアジェラードS2着をたたいて、ここに狙いを定めるデザートクラウン(牡4、父ナサニエル)、昨年のG1ジャパンCに来日し、6月のG2シャンティイ大賞(シャンティイ、芝2400メートル)で今シーズン2勝目を挙げたシムカミル(牡4、父タマユズ)、それにG1パリ大賞(パリロンシャン、芝2400メートル)で2着した3歳牡馬アデレードリバー(父オーストラリア)など主役級が勢ぞろい。見応えのある一戦になりそうです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2023年7月20日現在

今週のラッキーカラーは「青」!
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