11月4日(土曜)のG1ブリーダーズCクラシック(ダート2000メートル、サンタアニタ)には3月のG1ドバイワールドCを制したウシュバテソーロの参戦が予定されていて、出走が実現すれば日本でも馬券発売が実施されます。

本番までに残る主要重賞は9月23日(土曜)のペンシルベニアダービー(G1、ダート1800メートル、パークスレーシング)、30日(土曜)に行われるウッドワードS(G1、ダート1800メートル、アケダクト)、それに同日のオーサムアゲインS(G1、ダート1800メートル、サンタアニタ)などとなっています。

9月15日現在の前売りオッズは以下のとおりです。

◆ブリーダーズCクラシックの前売人気上位馬(9月15日現在)

・アルカンジェロ(牡3、父アロゲート)3・5~4・5倍<レーティング119・60>

・アラビアンナイト(牡3、父アンクルモー)6・5~8・0倍<116・60>

・ゴーロケットライド(牡3、父キャンディライド)7・0~9・0倍<115・60>

・ブライトフューチャー(牡4、父カーリン)8・0~11・0倍<113・80>

・ホワイトアバリオ(牡4、父レースデイ)9・0~11・0倍<120・40>

・ディスアーム(牡3、父ガンランナー)9・0~11・0倍<118・20>

・フォルテ(牡3、父ヴァイオレンス)9・0~13・0倍<116・80>

・メイジ(牡3、父グッドマジック)11・0~21・0倍<119・00>

・ウシュバテソーロ(牡6、父オルフェーヴル)12・0~15・0倍

・トゥーフィルス(牡3、父ハードスパン)13・0倍<118・00>


頭ひとつ抜けた1番人気はG1ベルモントSとG1トラヴァーズSを連勝して、本番に臨む3歳のアルカンジェロ。2番人気はG1パシフィッククラシックSを逃げ切って、存在感をアピールしたアラビアンナイト、3番人気もG1ハスケルSを差し切って、G1パシフィッククラシックSで2着のゴーロケットライド。古馬ではデビュー7戦目でG1ジョッキークラブゴールドCを制したブライトフューチャー、8月のG1ホイットニーSで、前年のフロリダダービー以来のG1勝ちを飾ったホワイトアバリオあたりが有力候補として挙げられています。

筆者は米国馬の力量比較のツールとして北米レーティング委員会(NARC)が発表している独自レーティングに注目しています。

それによると古馬のトップ3は<1>コディーズウィッシュ<121・80><2>アートコレクター<121・00><3>ホワイトアバリオ<120・40>の順。しかし、この3頭の評価対象距離はM部門(1600~1800メートル)で、コディーズウィッシュとアートコレクターはG1ブリーダーズCダートマイルを選ぶ可能性が高くなっています。

一方、1800~2200メートルのI部門に限ると4月のG1カリフォルニアンSと5月のG1ハリウッドGCに勝って、G1パシフィッククラシックで3歳馬アラビアンナイトの6着に完敗したディファンデッド、同じくG1パシフィッククラシック3着のスローダウンアンディの2頭が、ともに116・00で最高。これからも2000メートル路線の古馬陣の層の薄さが浮かんでいます。

3歳馬のトップスリーは<1>アルカンジェロ<119・60><2>メイジ<119・00><3>ディスアーム<118・20>。いずれもI部門(1800~2200メートル)で受けた評価ですが、ケンタッキーダービー優勝によって119・00となったメイジは、それ以降、G1プリークネスS3着、G1ハスケルS2着、G1トラヴァーズS7着と成績が下降気味。前走の競馬ぶりを見ても、このレーティングをうのみには出来ません。

ブリーダーズC当日も人気になりそうなアラビアンナイトは117・00、ゴーロケットライドも115・60と評価が低く、“遅れてきた大物”と呼ぶには、まだ役者不足を感じさせています。

ブリーダーズCクラシック勝ち馬のレーティングは昨年のフライトラインが140・00、一昨年のニックスゴーも129・00で、米国一に相応しい評価となっています。

今年は、仮に米国馬が勝ったとしても、このレベルには届くような馬は見当たらず、残るステップレースの中から、とてつもない馬でも現れない限り、混戦必至。

もし、日本で馬券発売が実施された場合には「大荒れの可能性あり!」ということを忘れずにいて欲しいと思います。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2023年9月15日現在

京都の蒼馬!
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