<天皇賞・春>◇1日=阪神◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走18頭

横山和騎手がついにG1制覇を達成した。馬の性格、馬場、風…。いろんなことを考えているジョッキーで、説明上手な理論派。緻密に思考をめぐらせる一方で、時に大胆な騎乗で沸かせる。安全運転ではなく、いちかばちかの思い切った騎乗は勝てば称賛されるが、負けたらもちろん批判を受ける。それでも失敗を恐れず自分の考えを貫くのは「自分の納得する騎乗をしたい」という気持ちからだ。

以前、父の典弘騎手からも同じような話を聞いたことがあった。「勝ったらいい騎乗というわけじゃない。負けても勇気を持った騎乗だったら、よかったなと思うし、声をかける。勇気を持った騎乗ができるかどうかが大事」。1レースに最大18頭の馬が出走するが、いい騎乗をしたって負けることの方が多い。馬の力、騎乗、馬場など…。多くの要素がかみ合った先に勝利がある。

レース前、鞍上は「タイトルホルダーがどんな走りをしてくれるのか、すごく楽しみ」と話した。馬と呼吸を合わせ、勇気を持った好騎乗。勝負師ならではの手綱さばきで手にしたG1タイトルは、格別だったに違いない。【三嶋毬里衣】