わずか1世代の産駒から、欧州を代表する大種牡馬となったドバウィを残したドバイミレニアムとは幾分事情が異なるものの、たった12頭のラストクロップの中から英国ダービー馬を送ったディープインパクトの偉大さは世界でも称賛されています。

20年生まれの12頭のうち、日本で種付けされた母馬が母国に戻って産んだ海外産馬は6頭。そのうち5頭は母の父はガリレオで、牡馬はオーギュストロダンと、サクソンウォリアーの全弟にあたるドラムロールの2頭。最初にデビューしたオーギュストロダンが頂点を極めました。

9度目のダービー制覇を成し遂げたA・オブライエン師は、ディープインパクト産駒の並外れた能力、健康で調教の容易さを挙げて「ここ数シーズン、日本の血統で何かが起こっていることがわかります」とコメント。アイリッシュタイムズ紙のB・オコナー記者は、日本の生産を「欧米の血統が求めてきたスピードへの執着に支配されることなく、独自の道をたどり、中距離をめざす繁殖に焦点を合わせてきた」と分析し、「今後数年で日本の種牡馬(のライン)が欧州生産界で重要な役目を果たすだろう」との見通しを述べています。

月曜に発表された英国タイムフォーム誌によるオーギュストロダンのレーティングは125+。これは近年最強のダービー馬とうわさされた昨年のデザートクラウンに与えられた122+をしのいでいます。

次走予定のG1愛ダービー(芝2400メートル、7月2日=カラ)の次は一昨年のアダイヤーを含む、3世代のダービー馬そろい踏みが予想されるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝2390メートル、7月29日=アスコット)が待ち受けています。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)