欧州の競馬シーズンも残すところ2カ月余り。これからは毎週のようにビッグレースが続きます。

“キングジョージ”を終えた英国競馬が次に迎えるのは中距離路線の王道となるG1英インターナショナルS(芝2080メートル、ヨーク)です。

1972年に始まった英インターナショナルSは、英国では比較的新しいG1競走ですが、広大なヨーク競馬場を舞台に約900メートルも続く長い直線で競われる一戦で、スピードとスタミナを兼ね備える真の王者をあぶり出す絶好の舞台となっています。

優勝馬リストには第1回の覇者ロベルト(輸入種牡馬のブライアンズタイムやリアルシャダイの父)を筆頭に名馬がずらりと並び、ここ5年は18年のロアリングライオン、20年のガイヤース、そして、22年バーイードが、その年の全欧年度代表馬に輝いています。

23日(水)から26日(土)まで続くイボア開催初日のメイン競走として開催される今年の英インターナショナルSの見どころは、5月の愛2000ギニーから前走のサセックスSまでマイルと2000メートルのG1戦を4連勝中のパディントン(牡3、父シユーニ)と、6月のロイヤルアスコット開催に行われたG1プリンスオブウェールズS(芝1990メートル)で鬼脚を爆発させて、最新の世界ランキングでイクイノックスに次ぐ2位(キングジョージ優勝のフクムと同レーティング)に躍進したモスターダフ(牡5、父フランケル)の初対決です。

パディントンが勝てば距離をさらに延ばしてG1凱旋門賞挑戦プランが持ち上がる可能性があり、対するモスターダフも胸を張って9月のG1愛チャンピオンS(芝2000メートル)から10月のG1英チャンピオンS(芝2000メートル)に進むために、ここで出るくいをたたいておきたいところ。

他にも昨年のG1英ダービー馬でヨーク競馬場で勝ち鞍のあるデザートクラウン(牡4、父ナサニエル)、今年の英ダービー2着馬で、キングジョージでも3着に健闘したキングオブスティール(牡3、父ウートンバセット)などが参戦予定。重量級のバトルが見られそうです。

【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)