グランプリ制圧で最強の名を受け継ぐ。今年のダービー馬タスティエーラ(牡3、堀)が14日、有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)の1週前追い切りを行った。美浦ウッドでの3頭併せで、最内から最先着。6ハロン80秒9-11秒1。課題とされた集中力、カイ食いも改善傾向。3歳馬3年連続Vに向け、順調に調整が進んでいる。

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これがダービー馬の貫禄だ。タスティエーラが3頭の内を猛然と突き進む。大外サイルーン(古馬2勝クラス)に1馬身、2歳重賞馬ゴンバデカーブースに2馬身の差をつけてゴールを迎えた。先週7日は気を抜きかけたが、この日は抜けてからも集中力を保った。6ハロン80秒9-11秒1。堀師は「2週前を踏まえてタイトな追い切りを行いましたが、抜け出しても耳を人の方へ向けて集中して走れていました」と狙い通りの動きを評価した。

牡馬クラシックで2、1、2着。菊花賞でも連対を確保した激走後の疲労は心配無用のレベルにある。堀師は「疲れはすっかり取れて、フレッシュないい状態です。短期間の休養で体調が良くなり、力強さが加わってきた印象も受けます」と成長を認める。11月25日に帰厩し、春先は残すことも多かったカイバもほぼ完食をする日が続く。それに伴って、「心身のまとまりもいいです」。調整に苦労した夏場と違い、今は順調そのものだ。

昨年覇者イクイノックスが現役を退き、混戦ムードの一戦。ドウデュース、シャフリヤールとの3世代ダービー馬対戦など、注目度は高い。堀師は「息はできていますが、最後にモコモコした感じがあったので、そこが解消されればいいと思います。状態を見極めて、直前の追い切りのさじ加減を決めていくつもりです」と、古馬初対戦へ細心の注意を払う。勝てば11年オルフェーヴル以来の3歳ダービー馬V。現役最強に君臨するための準備が続く。【松田直樹】