2年連続でNARグランプリ年度代表馬に選出された兵庫イグナイター(牡6、新子)の挑戦は11着に終わった。JRA・G1の壁は厚かったとはいえ、多くの意義あるチャレンジだった。園田・姫路競馬担当の松本健史記者が「取材ノート」で振り返る。

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フェブラリーSは20年ぶりに現地観戦した。もちろんイグナイターを応援するため。普段は兵庫の競馬開催日に遠征が行われることが多く、他地区の観戦へ行くのは難しいが、今回は指定席をゲットして東京へ向かった。

結果は11着。先行して真っ向勝負を挑み、4角過ぎで先頭に立つシーンもあったが、府中のダートの直線は園田の約2・35倍もある。想像以上に長かった。

翌朝(19日)、武田裕次厩務員に話を聞くことができた。「今回は1枠だったので前に行かないといけなかったが、(逃げた)ドンフランキー(8枠15番)と枠が逆なら、ガイアフォースくらいの位置(中団8番手)から運べたかも。力は出せたと思います」と振り返った。

しかし、それ以上に興奮したと話すのが返し馬のとき。「一番最初に(馬場へ)出たので、最初はどうしたらいいのか分からずあたふたしていました(笑い)。でも、アナウンサーに馬名を呼ばれたときに大歓声が上がって、その瞬間がたまらなかったですね」。中央のファンが温かく迎え入れてくれたことに感無量だったそうだ。自分もスタンドで同じ気持ちで見ていた。

この後は、選出されたドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200メートル、3月30日=メイダン)に向かうことが濃厚だ。「レース後は傷もなく大丈夫です。次はアメリカの馬が相手になりそうですね」と武田厩務員。また次の挑戦が始まる。