阪神は快進撃を支えてきた打線が精彩を欠き、敵地で中日に連敗した。日刊スポーツ評論家の権藤博氏(82)はシーズンで訪れた最初の「壁」と表現。先発青柳晃洋投手(27)のテンポの悪さが野手に影響を及ぼしたと指摘。打線の力を認めながら、16年ぶりリーグ制覇は試練打開の先にあることを力説した。

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貧打だった中日を圧倒するのかと思ったら、阪神が勢いを止められた。

権藤 阪神にとっては今シーズン初めての壁といえるだろうね。打てなくなったとか、打たれたという話しではない。ペナントレースを戦っていくなかでの流れだよ。前日は大野雄に抑えられ、この日はちょうど勝野の好投にあった。続けざまいいピッチャーとの対戦になって負の流れにはまった。

中日勝野に6回2/3を5安打で抑え込まれた。7回2死から梅野、陽川が初めて連打を浴びせたが、代打糸井が代わった2番手福に遊ゴロに倒れた。

権藤 勝野は投げっぷりが良く、打者の視界からフォークが消えていたね。腕の振りがいいから、打者からするとストレートとフォークの見分けがつかないんだよ。さすが打ち勝ってきているだけに阪神の振りは鋭いが、それを勝野のピッチングが上回った。

逆に阪神先発の青柳は2回、高橋周に四球を与えた後の2死二塁から、下位の木下拓、根尾に長短打を浴びて2点を許した。

権藤 立ち上がりの青柳はテンポが良くなかったので、それが打線のノリにつながったようにみえた。ピッチャーのリズムは味方打線にも影響を及ぼすものだ。2回は2ストライクからの高橋周への四球だからもったいなかった。中盤に差し掛かってリズムが良くなったから、あれぐらいで投げてほしかった。

開幕から約1カ月がたって、巨人に1ゲーム差まで迫られた。

権藤 長丁場なんだから何十回と壁が立ちはだかるわけで、それを何十回と突き破っていかないと。その繰り返しなんだよ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】