またしても阪神が西勇で敗れた。最下位チームを相手にとりこぼしたくないカードの“頭”をとれなかった。

山田 前半よりも広島にリードされてからのほうが西らしさが投球にでてくるのは、一体どういうことだろうか? と考えながらみていた。例えば、自身の調子を意識しすぎているのだろうかとか、開き直っているのか。絶対的な自信がないのかなとか…。そのあたりは実際に本人と話してみないとわからないけど、それにしてもキャッチャーの坂本のサインに首を振りすぎていたのも気になった。

阪神は梅野とのバッテリーではなく、今シーズン初めて西勇に対して坂本起用に踏み切った。

山田 キャッチャーのサインに首を振るのはかまわないが、西は経験があるんだから、首を振るときは相手打者を考えさせるような場合で、坂本を自分でリードするぐらいの工夫と余裕が欲しい。仕切りを外したり、後ろを向いたりといったしぐさも、リードされると少なくなって調子が出るのはなぜだろう。坂本のリードの意図は伝わってきた。でも西になんとか打たせてとるという心理が強すぎるからかピンチから逃げ切れない。前にも指摘したけど、この時期にきて先発ローテーションを外す余裕はチームにない。投げながら調子を上げさせるほかないだろう。

打線のほうは、好調とは言い難かった広島大瀬良に2点に抑えられた。

山田 今の阪神打線は1、2番頼みで、ちょっと落ちるタイプは打ち崩せるが、骨のある投手にかかるとちょっとつらい。この一戦はクリーンアップが好機に応えられたかどうかの差だった。阪神、巨人、ヤクルトより、打線は下位チームのほうが活発なのが現状だ。巨人の打力に“火”がつけばどうしようもないが、最後は投手力の勝負になるとみている。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

広島対阪神 7回表阪神2死一塁、中野が鋭い打球を放つも左飛となり、ベンチで悔しそうな表情を見せる西勇。左は坂本(撮影・前田充)
広島対阪神 7回表阪神2死一塁、中野が鋭い打球を放つも左飛となり、ベンチで悔しそうな表情を見せる西勇。左は坂本(撮影・前田充)