キャンプ取材も終盤に差しかかり、前夜に宿泊先に戻ってから各球団の戦力陣容を書き出した。

各ポジションにレギュラーと1軍戦力になりそうな選手を加えていく。これによって戦力層の厚さが浮かび上がってくる。

中日は投手陣はリーグではヤクルトと並び、最も厚みがある。一方で、野手は正直、手薄な面は隠せない。それでも投打で4人ほど、将来の軸になりえる若手の名前がある。打者では石川昂と岡林、投手では高橋宏と梅津だ。毎年、どのチームもキャンプで1~2人は将来はレギュラー野手やローテに入ると予感させる若手がいるが、4人は多いと思う。

石川昂は高卒1年目からデビューしたが、昨季はほぼ故障に終わった。だが今年は体もかなり出来上がってきて、打撃も構えから打ちに行く形が1年目より良くなっている。岡林は昨季終盤に出場機会を増やしたが、ミート力があり、実戦向きな選手だ。高橋宏はルーキーイヤーはテークバックの時に右手が後ろに入りすぎていたが、体に近いところに置くようになってスムーズに右腕が上がるようになった。19日のDeNA戦を見てもローテに入る力がある。梅津も右肘の故障があったが能力的には十分に勝てる投手だ。

こういう選手たちを立浪監督は我慢して使っていく形になると思う。経験がないため当面はミスが出ることも覚悟しているだろう。だがチャンスを与えられた若手たちも、監督が我慢ができるようなパフォーマンスを見せなければいけない。

また我慢の起用ができるかは従来の主力の働きにかかってくる。野手ではビシエド、高橋周、大島、京田、木下拓が数字を残す必要がある。特に高橋周は三塁手を務めてきたが、現状の適性を考えれば石川昂が三塁手になるため、高橋周が二塁手に回るだろう。守備の負担は増す。だが守備範囲は狭いかもしれないが、ポジショニングで補う方法もある。野球の見方が変わるチャンスとも言える。三塁手より、二塁手の方が打者の対応だったり、捕手の攻め方が見える。自分の打撃において成長のきっかけをつかめるチャンスだ。

期待の若手が定着すれば、主力への刺激にもなり、相乗効果が生まれる。この1年は中日の未来にとって、大事なシーズンになる。(日刊スポーツ評論家)

ブルペンで投球練習をする中日根尾。左は石川昂(撮影・森本幸一)
ブルペンで投球練習をする中日根尾。左は石川昂(撮影・森本幸一)
ブルペンで投球練習をする石川昂(右)左は立浪監督(撮影・森本幸一)
ブルペンで投球練習をする石川昂(右)左は立浪監督(撮影・森本幸一)