ヤクルトとのゲーム差は縮まらなかったが、下位に沈む巨人にはまたしてもカード勝ち越しを決めた。

桧山 今の阪神と巨人には点差以上に力の差を感じる。いい流れで勝つことができているのが阪神だ。先に点をとれば相手チームに6回までにリードしないといけないという焦りが生じて攻撃を窮屈にするからだ。それほど勝ちパターンが安定している証拠といえるだろう。

阪神ベンチは7回から好投の伊藤将に代えて継投に入った。伊藤将は6回1失点、87球で降板。前日2日と同様に、1点リードの7回から浜地、湯浅、岩崎で逃げ切った。

桧山 阪神の勝ちパターンが相手チームに早く点をとらないといけないというプレッシャーを与えている。伊藤将の投球は巨人打線に的を絞らせなかった。先発も後ろがしっかりしているから全力でいける。ただちょっと心配な点は、早々と勝ちパターンを繰り出すことによって、後々“ひずみ”が生じはしないかということだ。

阪神は戸郷から奪った3回中野の先制打、5回梅野の3号ソロ本塁打の2点を守り切った。1点リードした直後の3回裏は、巨人大城が右中間寄りのヒットを放つも二塁を欲張ってアウトになっていた(記録は走塁死)。

桧山 戸郷のストレートは球威があったが、中野も梅ちゃんも力負けしなかった。ただ3回の大城の走塁は寂しい。二塁を狙うにしても、右翼手島田の打球処理をみて難しいと判断してから一塁に戻っても間に合うのに、そのまま二塁でアウトになった。先頭打者だっただけに、阪神としては助かった。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】