阪神西純矢投手(20)の成長ぶりがうかがえたのは、5回を2点に踏みとどまったところだった。この回、4点リードから2点をかえされ、なおも1死一、三塁から、1番塩見を見逃し三振にとった場面はポイントだった。

西純はカウント1-1から内角ストレートを投じたが、塩見がこのストライクを見送った。捕手坂本は塩見の“目付け”が外角にあることを察したはずだ。続けざまふところに突っ込んでスイングさせなかった。

坂本は塩見の前打席(4回)で甘くなったスライダーを左翼線二塁打されたこともインプットしていたのだろう。坂本の配球に応じて、そこに投げ切った西純の踏ん張りは大きかった。

5回は、先頭サンタナの飛球が右翼手佐藤輝と二塁手山本が追う形でライト前に落ちた(記録は二塁打)。佐藤輝が捕球すべき当たりで、そこから4連打を浴びてズルズルいきかねないところだっただけに、よく流れを食い止めた。

ファームで結果を残して1軍に上がってきたとはいえ、チームが大型連敗をしている状況での先発はプレッシャーになったはずだ。阪神はこのカード初めて奪った先取点が西純を力づけた。

阪神ベンチとしても中野の復帰によって、島田との1、2番コンビで再び足を絡めた攻撃ができるのは、今後に向けての明るい材料といえる。これをCS(クライマックスシリーズ)進出に弾みがつく1勝にしたい。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対阪神 4回裏ヤクルト2死二塁、西純は村上を三ゴロに仕留めガッツポーズ(撮影・加藤哉)
ヤクルト対阪神 4回裏ヤクルト2死二塁、西純は村上を三ゴロに仕留めガッツポーズ(撮影・加藤哉)