阪神中野選手は1番打者としての準備を完璧に済ませていたから、2戦連続で先頭打者アーチを決められたのだと思います。前日27日ヤクルト戦で高梨投手から放った本塁打も、この日市川投手に浴びせた本塁打も、打ったボールはインローの緩い変化球。もともと得意ゾーンなのかもしれませんが、ツボに入ったら柵越えできると相手バッテリーに思わせるだけで、可能性は大きく広がります。

振る準備ができていない1番打者は、時に着払いの空振り三振もします。一方、配球や球筋をきっちり頭で整理できている打者は、1球目から強くスイングできるものです。そんな観点から見れば、中野選手は前夜は1ストライク、この日は1ボール2ストライクから、どちらもファーストスイングを本塁打にして価値を感じます。甘く行けば長打になる。先頭打者から神経をすり減らすとなると、投手はもう大変です。

タイプが違うのは百も承知ですが、03年阪神の今岡さんのようにホームランを打てて打点も稼げる1番打者は、先発投手からすれば厄介で仕方がないものです。初回から1発のプレッシャーをかけられる1番打者へ成長できるかどうか。中野選手の進化に今後も注目したくなりました。(日刊スポーツ評論家)