「うーーーん」「んーーー」。

 中日松坂大輔投手(37)のインタビューでは、言葉にならないやり取りがよくある。新聞記事では割愛され、映像では編集されるから、あまり表に出ない。ファンへの気遣い、チームメートへの配慮…。さまざまなことを思い巡らしてから、3~5秒の時間をおいてコメントを口にする。

 6月6日のロッテ戦で中日小笠原慎之介投手(20)が7回1失点の好投を見せた。今季初の2軍降格から、19日ぶりの1軍マウンドだった。打線の援護なく、5敗目を喫したが、結果を残した。「まだいきたいと言ってたが、こちらの判断で降ろした。よく踏ん張って試合を作った。(投球)術も覚えつつあるな」。

 辛口の森監督が、成長を認めた。投手陣の軸として開幕投手を託された小笠原だが、打線の援護も少ないこともあって、100球前後で崩れる場面が続いていたからだ。

 5月20日の阪神戦(ナゴヤドーム)。松坂が6回1失点で今季2勝目を挙げた時だった。「大輔は打席が回るまで、もう1イニングいきたいと言ってきた。今回はやめておけと止めた。小笠原にはそれがない。そんなヤツは使いたくない」。

 森監督は松坂の投球内容を語りながら、20歳の左腕を酷評した。37歳のベテランは故障から復帰し、もがきながら勝ち星を積み重ねている。松坂の姿勢を学び、考える時間を小笠原に与える2軍行きだった。

 ロッテ戦の試合後、小笠原を報道陣が囲んだ。ある記者の問いかけを、間髪入れず答えた。「いや、別に」。黒星を喫した試合直後。悔しく、つきまとわれたくないのも分かる。

 松坂は今季6試合に登板して、2勝3敗。勝った試合だけでなく、負けた試合でも駐車場や、帰りの通路で質問に答え続ける。敗戦の悔しさの中で、早く去りたいはず。それでも車の窓を開けて、取材に対応する。世代は違う。森監督が言うよう投球術は覚えつつあるのだろう。まだ20歳の青年。松坂が持つ、もう1つ術もこれから、覚えていってほしいと思った。【中日担当 伊東大介】