17日のドラフト会議に向け、指名候補を一気に紹介する。第5回は舞台を夢見るBCリーグの精鋭たち。

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9月19日、川崎市・ジャイアンツ球場にNPBスカウト陣が押し寄せた。ルートインBCリーグ選抜が巨人3軍と戦った。

07年に「北信越BCリーグ」として4球団で開幕。今や、11球団が属する独立リーグに成長した12年間で、元楽天の内村など41人がNPBからドラフト指名。ロッテ角中らが育った四国アイランドリーグplusにもひけを取らない陣容だ。

相手は3軍とはいえ、夢の舞台にいる先輩。彼ら以上のものを見せないと明日はない。BC石川・喜多亮太捕手(23)はスタメンマスク。「今年1年って決めています」と退路を断っていた。敦賀気比(福井)を卒業後、社会人野球・セガサミーで5年間プレー。「NPBは常に意識していました。でもスタメンで出続けることも難しくて」。一念発起し、恵まれた環境から飛び出した。

攻守に落ち着いたプレースタイルとの定評は、喜多の耳にも届く。「自分は全力でやっているつもりなんですよ」と笑い「それがNPBに伝わればいいなと思います」と愛着のあるマスクを外した。

「1年でNPBへ」と願ったのは、BC武蔵の右腕・松岡洸希投手(19)も同じだ。桶川西(埼玉)では3年間で夏の大会未勝利。本格的に投手を始めたのも半年前。それでも最速148キロまで球速を伸ばした。「高校3年間で身長も25センチ伸びたんです」という、まさしく伸び盛りだ。

8回に登板すると、ネット裏がざわついた。あこがれる元ヤクルト林昌勇そっくりのサイドスローから、球威あふれる直球が繰り出され、次々にバットが空を切る。「アドレナリンが出ちゃいました」とあどけない表情を見せた。

身体能力の高さが目立つBC武蔵の大型外野手・加藤壮太(21=中京)に、パワフルな打撃のBC新潟・樋口龍之介内野手(25=立正大)…独立リーグは未知の可能性にあふれる。【金子真仁】(つづく)

ドラフトファイル:松岡洸希
ドラフトファイル:松岡洸希