10年から19年までの10年ひと区切り(ディケイド)をテーマに阪神を分析し、“猛虎の風説”を企画「この10年、阪神やっぱりこうやった!?」。今回は「阪神は巨人に弱い?」。今季はクライマックス・シリーズの最終決戦で巨人に苦杯をのまされましたが、はたしてこの10年を見てみれば?

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矢野監督1年目の今季を振り返ると、やはりラストの進撃が記憶に残るのではないか。1試合でも落とせばBクラス決定…という土壇場で6連勝。最終戦でギリギリ3位に入って、クライマックス・シリーズ(CS)でも、まず2位DeNAを相手に粘り腰を見せて勝ち越し、ファイナルステージに進出。結果は完敗だったものの、最後は強い巨人相手の戦いに持ち込んだ。

最後が巨人との決戦というのは、やはり、盛り上がってよかった。いろいろな意見があるだろうが、やはり「打倒巨人」は阪神だけでなく、セ・リーグ、いや11球団の1つのモチベーションだろう。そして19年の終戦から約1カ月後に行われた球団納会でも、矢野監督は巨人戦への思いを強調した。

「強いジャイアンツを倒せるようなチームに全員でなっていきましょう」。その言葉に来季以降へのすべてがにじんでいると言っても過言ではない。

CSに進出したが、原監督復帰即優勝した巨人には、シーズン10勝15敗と5球団で最も分が悪かった。巨人戦はこれで12年から8年連続で負け越し。さらに08年から12年連続で勝ち越しもない。これ以上ないぐらい巨人に苦しめられている。

さらに情けない事実も再確認したい。この10年(ディケイド)でセ・リーグ5球団の対巨人成績を見ると、阪神は96勝138敗11分けの勝率4割1分で5位。5球団でもっとも負けているのだ。

もっとも強いのが広島で、このあたりはさすがに16~18年のリーグ3連覇を果たした貫禄だが、それでも10年間で見ると115勝122敗8分けの勝率4割8分5厘で負け越している。正直、そんなに印象はないけれど、やはり巨人は強かったということか。

「大昔はいわゆるジャイアンツ包囲網というものが敷かれたりして、各チームともローテーションを組んだりしたものですが。いずれにしても負けられない“伝統の一戦”なので阪神はもっと頑張ってほしいものですね」

広島カープで通訳などを経験し、現在は近大でスポーツマネジメントの研究を続ける黒田次郎准教授はそう話す。球界に携わった者のみならず、巨人戦はやはり注目度が高まるものだ。

このオフ、こと外国人選手に関しては巨人以上の補強をしたように見える阪神。従来の戦力とうまくマッチさせて、記念すべき東京五輪イヤーに優勝を決めてほしい。【編集委員・高原寿夫】