4年ぶりの聖地へあと1勝だ。夏甲子園2度出場の白樺学園が北見工に競り勝ち、決勝に駒を進めた。今夏の5試合中4試合目の先発となった背番号10、中野祐一郎(3年)が、9回5安打1失点で北大会初完投。昨秋はエースナンバーを背負っていた右腕が、最後の夏に躍動した。

 白樺学園の中野が北見工打線を1点に抑え込んだ。苦しんだのは立ち上がりだけ。1回、直球が高めに浮き2安打で先制を許したが、2回以降は変化球主体でスコアボードに0を並べた。「カーブでタイミングを外せた。1人1人に向かっていった結果」と、9回を投げきった勝利の余韻に浸った。

 雪辱に燃えていた。準々決勝の稚内大谷戦も先発したが、3回6安打5失点。1回戦の深川西戦で完封した背番号1河村説人(3年)に4回から救援を仰いだ。「前回みたいな投球はできない」。決意を胸に、立ったマウンド。戸出直樹監督(39)は「前回は中野にとって、ふがいない結果だったと思う。もう1度チャンスを与えて、それに応えてくれた」と、合格点を与えた。

 1年前の悔しさが忘れられない。昨夏の北大会1回戦、2年生ながら先発を任された。遠軽打線に2回0/3で4失点(自責2)と試合をつくれず、初戦敗退。「自分のせいで負けた。リベンジしたいと1年間思ってきた」。あの日、グラウンドで先輩と思いきり泣いた。夜の宿舎で、2年生でメンバー入りしていた同部屋の川波や池田らと誓った。「俺らが中心となってやっていこう」。負けたら終わる最後の夏。約束を胸にチームを引っ張っている。

 互いを高め合う存在も近くにいる。昨秋背負ったエースナンバーは、今春から河村に。背番号1は譲ったが「良い意味でライバル。刺激をもらう」。この夏は4試合26回で、自責点7、防御率2・42。河村(2試合15回で自責点2、防御率1・20)との切磋琢磨が、自身を成長させてくれた。

 この日の白星で、白樺学園は夏の公式戦100勝となった(11年の全国1勝を含む)。節目を刻んだ右腕は、地元の帯広市出身。「甲子園に1番近いと思った」と選んだ進路で、苦楽をともにしてきた仲間と夢をかなえる。【保坂果那】