三島南が延長10回の末に、第5シードの静清を下し、23年ぶりのベスト8進出を決めた。延長10回に川田啓人左翼手(2年)が決勝スクイズ。先発の島田優冶(3年)は4試合連続となる完投勝利を挙げた。準々決勝は今日25日に行われる。

 ノーシードの三島南が静清との死闘を制した。延長10回1死三塁のチャンスで、川田は「とにかくかえすことだけを考えた」と、3球目をスクイズ。勝ち越しに成功し、さらに1点を追加して守備に入った。先発の島田は押し出し四球で1点差とされ、なおも満塁のピンチを迎えるも、最後は併殺に仕留めて試合終了。その瞬間、ベンチからも選手が飛び出し、チーム全員で喜びに浸った。

 稲木恵介監督(36)は「一丸となってつかんだ勝利です」と強調した。同校はシード校に比べると、ずばぬけた選手は少なく、部員も47人と決して多いわけでもない。それでも「愛されるチーム」を目指し、日々努力してきた。練習後は学校から最寄り駅までの通学路でごみ拾いを行うなど、選手が自発的に行動。野球部の活躍に地元住民も敏感に反応し、勝ち進むごとに学校へ祝福の連絡や激励が数多く寄せられているという。

 ここまで1人でマウンドを守り抜いているエース島田は「次も挑戦者の気持ちで戦いたい」とチームの思いを代弁した。次戦は昨秋の県大会2回戦で1-11で6回コールド負けを喫した静岡と対戦する。快進撃を続ける三島南が全員野球で絶対王者に挑む。【神谷亮磨】