公立のシード校・高田が、金ケ崎との引き分け再試合を制して、09年以来7年ぶりに8強入りした。初回に4点の先制パンチを浴びせ、先発した背番号11の右腕水野夏樹(2年)は1失点の完投。前日19日の延長15回から一転、7回コールド8-1と快勝した。

 2日がかりの8強入りを、高田が開始直後に大きくたぐり寄せた。主将の4番伊藤智也内野手(3年)が左前先制打。伊藤貴樹監督(35)は「昨日取れなかった初回のチャンスで、今日は粘り強く得点できた」。四死球や重盗で好機を広げ、7番菊田郁也外野手(3年)が走者一掃の3点三塁打。一挙4点を奪った。

 前日は2点を追う劣勢から同点とし、延長15回まで戦った。最後までリズムをつかめず、伊藤主将は「正直、助かった部分がある」と明かす。だからこそ、再試合は流れを先に呼ぶことに集中した。同主将は「今日は先制して、自分たちのペースがつかめた」。反省が生きた。

 強烈な先制パンチは投手のリズムも生んだ。先発の水野が「今日は自分が投げて、明日のためにエースをとっておきたかった」と、130キロ台の直球を軸に1人で投げ切った。前日211球で完投したエース右腕千田雄大(3年)を、思惑通りにベンチで休ませた。

 青森では高田と同じ公立校の大湊が強豪私学3校を破って決勝に進出した。県外とはいえ、伊藤主将は「いい刺激をもらっている」と言う。伊藤監督は弘前学院聖愛が準々決勝で9回に6点差を逆転した例を出し、選手に「何が起こるか分からないよ」と、1球の重みなどを教え込んでいる。

 延長15回3時間5分の激闘から、再試合は1時間47分の7回コールド。疲労などを考慮すれば、好材料になる快勝だった。2日で計22イニング。伊藤監督は「それを乗り切ったという自信を、プラスに捉えたい」と言った。今日21日の準々決勝は優勝候補・盛岡大付と対戦する。3連戦のハンディをはね返す力が試される。【久野朗】