神村学園が壮絶な九州対決に敗れた。

 3点を追う9回表2死二塁から同点に追いつき、3点リードの12回裏2死走者なしから逆転サヨナラ負け。

 ジェットコースターのようなシーソーゲームを終え、小田大介監督は「野球の怖さ、おもしろさを思い知らされました」と言うしかなかった。

 背番号15の2年生右腕・金城伶於は12回2死満塁から、マウンドで押し出しサヨナラのシーンを見届けた。「入ったと思ったんですが…」。カウント3-0と絶体絶命の場面から外角低めの直球2球でフルカウントに持ち込んだ。ラストボールはフォークを求めた田中怜央那捕手(3年)のサインに首を振り、直球を3度外角低めに投げ込んだが、わずかに外れた。

 土壇場に同点に追いついた直後の9回裏から3番手で登板。遊撃手兼投手というユーティリティープレーヤーながら、計測不能の超スローカーブや絶妙のフォークを決めて、80球を投げて力尽きた。12回裏2死走者なしから2連打を浴びた時点で「焦ってしまった」という。「それまで手を出していたフォークに(明豊打線が)手を出さなくなった。僕が3年生の夏を終わらせてしまった。申し訳ないです」。

 主将の後藤拓真中堅手(3年)は12回表2死満塁から、一塁線に意表を突くセーフティーバントを決め、敵失を誘い、走者一掃の3点を勝ち越した。「自分の判断。誰よりも(バント練習を)やってきた自信があった」と言う。一方で、悪夢の結末には「やりきりました。後悔はない。ただ、後輩はこの光景を目に焼き付けて、絶対に甲子園に帰ってきてほしい」と話していた。