新潟南が97年以来、21年ぶりの決勝進出を決めた。帝京長岡に13-6で逆転勝ちした。4-6の7回1死満塁の場面で岩渕大捕手(2年)が走者一掃の逆転左中間二塁打。主将の快打が勝負を決めた。きょう23日、ハードオフ新潟で日本文理と決勝を戦う。

初球だった。岩渕が放った鋭い一撃が、新潟南を勝利へ軌道修整した。4-6の7回1死満塁。「初球から狙っていた。絶対、打ってやろうと思っていた」と、外角高めの直球を強振した。勢いよく飛んだ打球は、左中間を襲う。逆転の走者一掃左中間二塁打。「絶対に諦めるな。必ずチャンスは来る。そこで誰かが1本打てば、分からない」と長島史明監督(44)が選手たちに話していた「誰か」とは、主将の岩渕だった。

「清水(響介投手)が今までずっと頑張って、打線は援護できなかった。今日は何としても、自分が助けたい、と思った」と岩渕は話した。女房役の捕手として、エースを助けたい思いは誰よりも強かった。「打たれても、自分たちが打つから大丈夫」とエースに掛けていた言葉を、バットで証明した。6打数3安打の4打点。11-6の8回2死三塁では、中越えの適時三塁打を放って得点をさらに積み上げた。

準々決勝では3番打者だった岩渕はこの日、1番打者として出場した。長島監督は「打線が機能していなかったから、思い切って変えた。実は、先取点が欲しかったので、岩渕を1番に上げた」と言う。先制して主導権を握ることはできなかったが、絶好の場面で岩渕に打順が訪れ、得点機をものにした。1年生の冬に午前は体力トレーニング、午後は1000本のティー打撃を繰り返してきた成果が2年の秋に実った。「1番打者になると打率がいい。うれしい、というくらいでした」。そんな思いも、岩渕はバットに乗せた。【涌井幹雄】