21世紀枠でセンバツ初出場の熊本西が2回に先制。連打で無死一、三塁とし、併殺の間に1点を奪った。智弁和歌山は2巡目に入った3回から反撃を開始した。

1死一塁で1番細川凌平外野手(2年)が右前打を放ち、好機を拡大。2~4番も連打で続き一、三塁の形を繰り返し作り、この回4点を奪って試合の主導権を奪い返した。熊本西の先発霜上幸太郎投手(3年)は、変化球を巧みに散らして立ち上がったが、チーム打率で出場校中2位の3割8分3厘を誇る智弁和歌山打線が対応力の高さを示した。

智弁和歌山は4回、打者11人を送り込み7安打を集めて7点を奪い、試合を決めた。圧巻は2死一、三塁から飛び出した4番東妻純平捕手(3年)の3ラン。ロッテドラフト2位の東妻勇輔投手(22=日体大)を兄に持つ。強打の真ん中に座るスラッガーらしく、腰の入ったスイングで左翼席へ放り込んだ。

高嶋監督の後を継いだ元阪神の中谷仁監督が、落ち着いてチームを導いた。上位下位に穴のないジグザグ打線を組み、積極的に動いて次塁を狙い、絞り球も明確にして複数得点を狙うスタイル。伝統のチームカラーに自身の色を上書きし、最高の形で甲子園1勝を飾った。