これが第1シードの底力だ。花巻東は1-5の6回から追い上げ、1点差の8回に猛ラッシュをかけた。

先頭から犠打を挟んで6安打3四死球で7得点。5番田村陽大が同点右前打、7番酒井直也は勝ち越し中前打と2年生内野手コンビの殊勲打が連なり、逆転から一気に突き放した。

エースの緊急投入も吉と出た。完全投球だった左腕・中森至(3年)が4回に崩れて5失点。佐々木洋監督(43)も「継投を考える暇もなく、気付いたら取られていた。誤算だった」と慌てたが、西舘勇陽投手(3年)が同1死一塁から救援し、最終回まで2安打無失点と流れを変えた。直球も自己最速に1キロと迫る149キロと走り、9回は帽子を飛ばし続ける熱投で3アウトすべて三振で締めた。

西舘は打撃でも7回に2点適時打。今大会は投球に波があり信頼を失いかけたが、佐々木監督は「西舘で勝たせてもらった」と見直した。昨夏はシード盛岡三のエース兄洸希さん(筑波大1年)が大船渡・佐々木と投げ合い、2-11で初戦敗退に屈した。弟は「日本一の投手。スピードや変化球の切れでは勝てないが、配球の組み立てなどでチームを勝たせたい」と、兄弟にとって2年越しの雪辱戦を見据えた。【中島正好】