雪辱の全国へ。吉報が届いた白樺学園ナインは静かに喜びをかみしめた。昨秋全道覇者に届いたセンバツ切符。主将の業天汰成捕手(2年)は「一安心です。夢舞台で精いっぱいプレーできるようにしっかり準備したい」。神宮大会4強も、挑戦者の気持ちで初の春甲子園に備えていく。

「はざまの世代」。業天の口から出たのは意外な言葉だった。2年前の入学当初は強打が伝統のチームにおいて、打線の迫力がなかったという。周囲に言われたのが冒頭の言葉だった。それでも腐らなかった。7割を割いた守備練習で自分たちの土台を築いた。打撃では長打よりもつなぐ意識を心がけた。堅守があるから、打撃に集中できる。昨秋全道を4戦42得点で勝ち上がるまでに成長した。

再び壁を感じた。4強になった神宮大会。エースで4番の片山楽生(2年)は「全国とは差があった」。打線は直球に押し込まれ、守備でもリズムを生み出せない。「自分たちは個々の力は足りない」。その自覚が、全国との実力差を埋める冬への意識を生んだ。冬場はウエートなどの地道な練習を反復。8キロ増の片山を筆頭にチーム全体でも5キロほど体重が増えた。つらい練習はセンバツ行進曲の「パプリカ」をかけてチーム一丸で乗り切った。

この日、部室に集まったナインは先に21世紀枠で帯広農の選出を知った。業天は「帯広農が1面ですかね」と少し寂しそうにしたが「全国で1つでも多く勝って大きく扱ってもらえるように頑張ります」と続けた。3度出場の夏は13年の1勝のみ。初出場で歴史を超える甲子園1大会2勝を狙う。【浅水友輝】