<高校野球神奈川大会:横浜創学館5-2慶応>◇26日◇準決勝◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか

ノーシードから勝ち上がった名門・慶応が、横浜創学館に屈した。エース前田晃宏投手(3年)が1点ビハインドの4回途中から2番手で登板。5回に追加点を奪われるなど、4回を4安打4失点で高校最後のマウンドを終えた。元広島の前田智徳氏(50)の次男として注目されたが、夢の甲子園はかなわず。今後は慶応大に進学し、野球を続ける意向を示した。

昨年秋に右肩、今夏大会直前には右膝を故障。ケガに苦しんだ右腕が、涙をうかべながらも、すがすがしい表情でラストゲームを振りかえった。

前田 自分の持つ体の今のポテンシャル、すべてを投じた上で、真っ向勝負で力負けしたということだと思います。自分の中でいい球が投げられました。

この日も内野スタンドの最上段から観戦した父に対しては「去年の秋に肩をケガして、ずっとリハビリに付き合ってもらって。やっと治せて。夏の大会、恩返しできるなと思ったところでまたケガをしてしまって。チームのみんなにも、親にも申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですけど、なんとか最後ここまで、チームの力になれた。父と母、2人のおかげでここまでこれたと思います」と感謝の言葉を連ねた。

降板後の8回にはマウンドへ伝令に走り、ナインの笑顔を誘う場面もあった。「最後まで楽しまないと。エンジョイベースボールを信条に置いてきたので。負けたんですけど、すごい楽しい試合。やっぱりこのチームで戦えたのは楽しかったし。最後の夏の大会が楽しい大会になって。悔いはないです」。

自身の今後については「まずはしっかり膝を治して。まだまだ野球の世界で、もっと上を目指す喜びを味わいたいなと思った。大学野球でも注目していただけるピッチャーとなって、また1年生、2年生から、今の強い大学野球、慶応大学でも頭角を現せるように」。かなわなかった聖地甲子園へ夢は「学生野球の聖地」神宮球場で、描いていく決意だ。【鈴木正章】