慶大が、代打2者連続を含む3本塁打を放ち、法大に先勝した。1浪の末、AO入試で入学した岩見雅紀外野手(2年=比叡山)が7回に代打でリーグ戦初本塁打となる3ランを放つと、続く代打の山本瑛大内野手(3年=サウストーランス)も公式戦初本塁打を放った。

 ラグビー部やアメフット部に勧誘されたそのパワーを、ようやく神宮球場で見せつけた。2点リードの7回2死二、三塁。187センチ、115キロの右の大砲、代打の慶大・岩見がすくい上げた打球は長い滞空時間を経て左翼席中段で弾んだ。「ストレート待ちだったんですが、あんまり曲がっていなくて。感触は完璧でした」。リーグ戦1号の3ランで試合を決定づけた。

 ベンチ入りは2年春だが、飛ばす力では群を抜いていた。大久保秀昭監督(46)が「岩見は散々、近所の家に迷惑をかけてきた」と苦笑いするように、フリー打撃で左翼ネットを越えた回数は数知れず。バックネット後方の駐車場まで推定130メートル弾を飛ばし、同監督の車にあと数センチでぶつかりそうになったこともあった。肝を冷やし続けた? 同監督と、ベンチで初めてハイタッチを交わした。

 比叡山では高校通算47本塁打。1浪の末、AO入試で慶大に入学した。「プロに入りたいと思い、やはり6大学で野球がやりたいと思いました」と、一般受験で現役合格した大学を蹴って上京した。

 ベンチプレスは135キロを上げ「今でもラグビーやアメフットに誘われます」と笑った。

 チームは開幕4試合で7本塁打を量産する。ドラフト候補の谷田成吾外野手(4年=慶応)や、横尾俊建内野手(4年=日大三)が打たなくても、日替わりでヒーローが出現する。いずれクリーンアップも期待される岩見は「谷田さんや横尾さんは大スター。僕は1打席1打席頑張るだけです」。小さな声で照れながら、レギュラー定着を見据えた。【和田美保】