涙の今季最終戦、阪神は今季17度目の完封負けを喫し、CS進出を確定できなかった。勝つか引き分けるかで3位となった広島戦で先発藤浪晋太郎投手(21)は5回4失点で降板。14勝を挙げたシーズンは7敗目を喫して閉幕。関本賢太郎内野手(37)の引退試合を勝利で飾れず、何よりCSを決められず、21歳は涙にくれた。広島は7日の中日戦に勝てば3年連続のCS進出となる。

 信じたくない。残酷な結末だ。勝てばCS進出が決まるシーズン最終戦。甲子園で8連勝中だった藤浪が、聖地で負けた。4回の1イニングでまさかの4失点。15年の大黒柱は試合後、厳しい表情のまま自らを責めた。

 「打たれたボールは両方ともすごく甘くはなかったけど、ボール1個分、半個分甘く入ってしまった」

 悪夢は0-0の4回だ。無死一塁、3番松山に内角144キロカットボールを狙われ、右翼ポール際に先制2ランを運ばれた。さらに2死から1四球1安打に失策が絡み、2死二、三塁。9番黒田が控える中で8番石原との勝負を選び、右前2点打を許した。高めのウエストボール要求に応えられず、153キロが外角高めに入った。悔しさを隠しきれず、表情がこわばった。

 「あと1イニング、節目の15勝まであと1個足らなかった。何か、あと1つ、自分自身に足りないんだと思います」

 5回5安打4失点で7敗目。シーズン200投球回までわずか1イニング足らず、最多勝争いでも広島前田の15勝に1勝届かなかった。ただ、6カ月間で199イニングを投げ抜いた肉体が万全なわけがない。和田監督からは「シーズンを通して、よく投げてくれた」とたたえられた。14勝7敗、防御率2・40。221奪三振は両リーグ最多だ。それでも21歳はチームを悲願の10年ぶりV奪回に導けず、納得しなかった。

 「単純に数字だけを見れば、そこそこ悪くないかもしれないけど、勝ちきれない、取りこぼした試合も多かった。もっと出来たかなという悔しさはあります」

 30年ぶりの日本一へ、まだ扉は完全には閉ざされていない。広島が7日中日戦に引き分け以下ならCSが決まる。「広島の結果次第ですけど、できる限り万全の準備をしたい」。CSファーストステージでは10日の初戦を任される見込み。人事を尽くして天命を待つ。【佐井陽介】

 ▼セ・リーグの3位決定は7日のリーグ最終戦まで持ち越し。広島が7日の中日戦に○ならば広島が3位、広島が△か●の時は阪神が3位となる。阪神は70勝71敗2分け、現時点では3位で全日程を終了。CSが始まった07年以降、CS進出の可能性を残して全日程終了は10年日本ハム、15年西武に次いで3度目。10年日本ハムは4位ロッテに0.5ゲーム差の3位で終了も、ロッテが残り2試合に○○で4位へ転落。今年の西武はロッテが残り5試合で1勝4敗ならば3位だったが、ロッテが2勝して4位に。他球団の結果待ちでCS進出はまだない。