阪神第33代監督に球団OBの金本知憲氏(47)が就任することが17日、正式決定した。金本氏が同日夕方、次期監督への就任要請を受諾したと球団が発表した。南信男球団社長に電話で意思を伝えた。契約年数は明かされなかったが、3年を基本線に4年の可能性もあるという。絶大な人気と実績を誇るカリスマが、10年間、優勝から遠ざかる猛虎の改革に取り組む。

 チームの抜本的な改革を託される第33代、阪神金本新監督が誕生した。来季監督に就任することが正式に決定。この日の夕方、要請受諾の意思を固めて南球団社長に電話で返答した。週明けの19日にも就任会見となる見通しだ。

 金本氏は今月1日に次期監督の要請を受けて以来、3度の交渉を行ってきた。球団は3年を基本線に長期政権も視野に、チーム再建に取り組んでもらいたいという誠意を伝え続けた。

 要請を受けた時点で金本氏は慎重な姿勢だったという。その後、粘り強く南球団社長をはじめ、球団首脳が説得し、徐々に気持ちは五分五分となり、最終決断となるこの日を前に、受諾へと傾いていた。

 チームは今季、大混戦のセ・リーグの中で9月上旬まで首位を走りながら、最終盤に大失速して優勝を逃した。外国人、ベテラン頼みのチーム編成、若手の伸び悩みなどが指摘される中で、電鉄本社、球団ともに大幅な改革の必要性を感じ、白羽の矢を立てたのが金本氏だった。

 05年のリーグ優勝から今年の球団創設80周年に向けては岡田監督、真弓監督、和田監督とOBを中心とした路線で指揮官を継承してきた。同時にコーチやスタッフもOBを中心に固めてきた。ただ、節目を終えて81年目となる来季はこれまでの歴史と伝統の上に「革新」の要素を加えていく必要があるという。そして金本監督誕生とともに来季からは、それを明確に打ち出すことを考えている。球団は金本監督誕生の前に、すでに現体制のコーチ陣を大刷新するなど、改革路線への準備に入っていた。

 03年に広島からFA移籍後、その圧倒的な練習量と野球に対する厳しい姿勢で存在感を発揮。連続フルイニング出場世界記録など抜群の実績を残し「虎を変えた男」と呼ばれた。「鉄人」「アニキ」の愛称でファンからも絶大な人気を誇った。03年に18年ぶりのリーグ制覇に導くと、05年の優勝時にはリーグMVPに輝く活躍で、黄金時代をもたらした。近年、勝ちきれなかった虎を再び変革するためにはこれ以上ない新監督の誕生だ。指揮官として再びタテジマをまとい、金本氏がグラウンドに帰ってくる。

 ◆金本知憲(かねもと・ともあき)1968年(昭43)4月3日、広島県生まれ。広陵在学中は甲子園出場ならず。東北福祉大を経て、91年ドラフト4位で広島入団。00年にはトリプルスリー(3割1分5厘、30本塁打、30盗塁)を達成するなど、俊足強打の外野手に成長。02年オフ阪神にFA移籍。03年には主に3番を務め、リーグ優勝に貢献。04年から4番に定着し113打点でタイトル獲得。翌05年は40本塁打125打点を挙げMVP。移籍後2度目の優勝の立役者となる。06年には904試合連続フルイニング出場の世界記録を樹立し、最終的に1492試合に伸ばした。連続1766試合出場はプロ野球2位。ベストナイン7度(95、00、01、04~06、08年)。12年オフ引退後は野球評論家として活動。現役時代は180センチ、88キロ。右投げ左打ち。