ヤクルト真中満監督(44)が18日、ソフトバンク工藤公康監督(52)に先制攻撃を仕掛けた。24日から始まる日本シリーズで、予告先発には応じない考えを示した。ルール上は予告ではないが、監督会議で両監督が了承した際に実施されており、一昨年、昨年と連続で採用されている。だが、同監督は敵に手の内を明かさない考えだ。前日17日にCSを勝ち抜いたばかりだが、気持ちは早くも14年ぶりの日本一へ向かっている。

 水面下での探り合いは、すでに始まっている。前日17日にCSを終えたばかりの真中監督だが、早くもソフトバンクとの日本シリーズへ頭を切り替えた。まず口にしたのが予告先発の実施についてだった。

 真中監督 相手の先発は、右ピッチャー(武田、中田、バンデンハーク)が中心。うちは左の石川がいる。どこに持っていくか、簡単には教えたくはないね。向こうにとって、対策を練りやすくなるわけだし。予告先発はうちにとっては必要ないと思う。

 ルール上は予告ではないが、開幕前日の監督会議で両監督が希望した場合は実施される。まだ工藤監督から提案があったわけではないが、提案後では断りにくい。しっかりと先に予告NGの意思を明確にした。

 「石川だけではなく、左は成瀬、村中、八木だっているからね」とニヤリ。2軍調整中の3投手の名前を挙げた。同シリーズでの出場資格者は40人。試合ごとに40人の中から、25人のベンチ入りメンバーを選べる。予告先発がなければ、相手が予期せぬ“隠し玉”も可能になる。

 巨人とのCSファイナルステージでは、手の内を隠さなかった。報道陣に向けても「(先発)予想は立てやすいでしょ。今いるメンバーでいく」と言うほどで、実際に石川-小川-館山-杉浦と順当に起用した。だが、日本シリーズでは「40人」の利点を使わない手はない。高津投手コーチも「僕は何も知らない。監督が向こうと話すだけですから」。トリプルスリーを達成した柳田や、松田、李大浩、内川ら強打者が並ぶ昨年王者に対し、正攻法だけで向かうつもりはない。

 最大で7試合が展開される日本シリーズ。CSファイナルステージで使われなかった右腕・石山、サブマリン山中らも候補に挙がる。14年ぶりの日本一に向けて「正面から向かって戦うつもりはない」。あらゆる手を尽くし、日本一を狙う。【栗田尚樹】

 ◆日本シリーズの予告先発 監督会議で両監督が合意すれば採用し、過去4例ある。横浜権藤、西武東尾と投手出身監督の対戦となった98年横浜-西武戦が最初。「予告先発でいいじゃないか。正々堂々とやろう」(権藤)、「権藤さんがいいと言うならいいよ。面白いことをやろうじゃない」(東尾)と、両監督がほぼ同時に別の場所で提案して実現した。05年阪神-ロッテ戦では阪神岡田監督が提案し、ロッテ・バレンタイン監督も了承。日替わり打線のロッテに有利といわれ、結果はロッテの4勝0敗だった。13年の巨人原、楽天星野、14年の阪神和田、ソフトバンク秋山の各監督も採用に合意した。