オコエの武器は身体能力ではなかった? 楽天ドラフト1位のオコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が10日、宮城・柴田郡の仙台大で体力測定に臨み、「BIODEX」と呼ばれる機械で足の筋力バランスを測定した。規格外の走力で甲子園を沸かせた数値に注目が集まったが、秋田トレーナーは「突出した数値ではありません。筋力の強さは問題のないレベルでした」と意外な事実を伝えた。

 実は、過去に身体能力の測定結果でチーム1位を記録した経験がないという。50メートル走のベストタイムは5秒96だが「平均で6秒2ぐらい。高校に入った時は6秒8とかでした。そんなに速くないんですよ。他の数値もU-18では平均以下でした」と明かした。10回3セットで行うベンチプレスの重量は85~90キロ。「自分の中で身体能力が高い意識はないんです」と、周囲とは異なる実感を持つ。

 オコエ=身体能力という印象は、高い技術と意識の産物だった。「むしろ身体能力と言ってもらうことに対する反抗心で技術を磨いてきました」。無駄のないベースランニングに、次の塁を狙う集中力。シニア時代から、前傾せず背筋を伸ばすランニングフォームを徹底してきた。「その結果だと思います」と分析。この日の計測で、方針が正しかったことを再確認した。

 限界に挑戦する心の強さも見せた。最大酸素摂取量を調べるランニング。足が動かなくなるまで約12分30秒以上、加速するマシンを走り続けた。秋田トレーナーからは「手を抜くと数値で分かる。限界まで走っていた」と合格点が出た。今日11日からは、ついに新人合同自主トレがスタートする。「キャンプからではなく、初日からアピールしたい」と心を高ぶらせた。【松本岳志】