今日26日こそ、勝利を届ける。広島新井貴浩内野手(39)がマルチ安打をマークした。「6番一塁」で4年ぶりの開幕スタメン。7回には三遊間を破り、9回には中前へと運んだ。明るい表情は一切なかったが「とにかく明日へ」と気持ちを切り替えた。2000安打まで残り27本。今日先発の黒田博樹投手(41)とともに価値ある安打で、カープファンに勝利を運ぶ。
ベンチ裏で足を止め、新井は言葉を探した。開幕戦に詰めかけた3万459人のファンの前で、痛恨の1点差負け。勝てなければ、残したマルチ安打に価値など見つけられなかった。リストバンドで汗をぬぐうと、言い聞かせるようにゆっくりと話し始めた。短い言葉に、力を込めた。
「明日の試合で、もう明日の試合でしっかりやるだけ。球の見え方はまずまず。でもいい当たりとかは関係ない。オープン戦じゃないから。何であれ、打たないといけない」
「6番一塁」で4年ぶりの開幕スタメン。ルナ、エルドレッドの後ろで好機を待つ。16年初安打は7回2死で立った第3打席だった。フルカウントからDeNA井納の高め直球にバットをかぶせ三遊間を破った。1点差に詰め寄った9回には2死から中前打。守護神山崎康を慌てさせた。マルチで通算2000安打まであと27本だ。
オフはイベントに出るたびに、節目の記録について問われた。だがそのたび新井は「まったく考えていない」と言った。そして「打てなくても優勝出来ればいい。もし打てるなら、いいところで打ちたい。試合を決める一打になったら最高だね」と続ける。それほどチームを愛し、勝利を渇望している。勝利に、得点につながらない安打で笑顔が生まれることは当然ない。
チームとしても終盤にDeNAの三上、山崎康を追い詰めたが、あと1本が出なかった。攻撃陣が放った鋭い打球はことごとく野手の正面を突いた。これで開幕戦は2年連続の黒星。だが、まだまだ始まったばかりだ。緒方監督も「明日また切り替えてやっていきたい」と前を向いた。今日26日には黒田がマウンドに立つ。この男もまた、何よりチームの勝利を欲す。さあ、16年初白星だ。【池本泰尚】



