阪神高山はギっと歯を食いしばり、バットを振り抜いた。打球は右中間スタンド中段に飛び込んだ。「打った瞬間、行ったかなと思ったので良かった。こういう大事な試合で打てた1本なので、すごくうれしいです」。

 1点リードの4回2死満塁。直前の2回にも満塁で打順が回り、三ゴロに倒れていた。「悔しい打席になったんで。取り返せて良かったです」。学生時代にも公式戦では覚えがないという満塁弾で試合を決めた。金本監督も「あれくらいの力があるし、もっと長打を打てる。打球が上がりはじめた感覚を忘れないで欲しい」と、長距離打者としての素質を口にした。

 6回にも、無死満塁で右翼線に2点二塁打。計6打点の荒稼ぎで、シーズン50打点の大台に乗せた。得点圏打率も3割8分6厘とリーグトップ。さらに、高山がアーチを架ければ、チームは4勝1分け。不敗神話で猛虎をけん引している。

 CS進出を懸けた3位DeNAとの重要な3連戦。チームはきっちり3連勝を収め、0・5までゲーム差を縮めた。2日から続いた長期ロードも、4年連続の勝ち越しとなる11勝9敗で乗り切り、今日26日から本拠地甲子園に帰還する。「上のチームに勝てたことが良かった。1試合1試合必死で打っていきたいと思います」。高山はまだまだ暴れたりない様子だ。【梶本長之】

 ▼高山が4回に満塁本塁打。新人の満塁本塁打は12年9月27日伊藤隼(阪神)以来、プロ野球55人、56本目。セ・リーグでは17人、18本目で阪神ではプロ野球初年度の36年伊賀上、前記伊藤隼に次いで3人目。高山は6回にも2点二塁打を放ち、1試合6打点。新人の1試合6打点以上は06年3月29日炭谷(西武)以来。阪神では67年4月23日江夏、97年10月11日今岡の4打点を抜き、ドラフト制後の1試合最多打点となった。