育成選手を含む楽天の新人10人が5日、沖縄・久米島キャンプ初の休日に観光PRを行った。高卒2人を除く新人8人で訪れた泡盛をつくる久米仙工場では、ドラフト7位の寺岡寛治投手(25=BC・石川)が新人最年長の存在感を示した。泡盛を一気に飲み干すだけでなく、ついつい「お代わり」するなど酒豪ぶりを発揮して盛り上げた。今日6日から始まる第2クールでアピールを続け、念願の開幕1軍入りを狙う。

 新人最年長の貫禄だった。寺岡は、杯の泡盛をイッキに飲み干して手本を見せるだけでなく、他の新人にも積極的に飲ませて歩いた。「この中だったら僕が一番飲める。僕が飲むんだから、後輩も飲むでしょ?」と冗談交じりに笑いながら、この日一番の酒豪っぷりを見せつけた。

 酒に強いだけじゃない。強気に内角を突く投球が持ち味だ。過去に昭和最後の完全試合を達成した元阪急の今井雄太郎投手は、登板前の飲酒で“ノミの心臓”を克服したといわれる。寺岡は「それはない。自分は気が強いから大丈夫」と、豪快に笑う。BC・石川では外野手との二刀流から投手一本に絞り、わずか1年で最速155キロまで上昇させた男が、自信を見せた。

 キャンプ初日にブルペンで捕球した捕手の下妻貴寛(23)からは、武器である内角への直球を絶賛された。「下妻にはインコースに抜ける球が強いって言われた。抜けたと思うけど、抜けてない。それが僕の持ち味」。第1クールの4日間では3日もブルペンに入り「思ったより気疲れせずに、自分のペースでやれている」と余裕を見せた。

 孝行息子になる。寺岡は母幸子(ゆきこ)さん(55)に女手一つで育てられた。「酒が強いのは母の遺伝。僕は毎日は飲まないけど、飲むときはとことん飲む」。昨年11月の新入団会見では「母さんはお酒が大好き。勝ったらうまい酒を飲ませたい」と宣言。その夢を実現させるには、まず開幕1軍入りが目標となる。「入るとするなら中継ぎだと思う。同期の投手には負けられない」。昨年は新人3投手が中継ぎで開幕1軍入りし、前半戦の快進撃を生んだ。今年はオールドルーキー寺岡が、その重責を担う。【高橋洋平】