広島が終盤に驚異的な粘りを発揮した。ヤクルトに逆転勝ちし、優勝マジックを2つ減らして「17」とした。7回に4点を勝ち越されたが、8回にすぐさま反撃。代打バティスタの2ランなどで1点差に迫り、9回は野間の犠飛で追いついた。今季13度目の延長戦は、10回に丸が31号決勝アーチを放って決着した。

「初球が大振りになったので、しっかりコンパクトにいけばと思った。手応えは良かった。バティスタのホームランが本当に勢いづけてくれた」

丸は、梅野が2球続けた高め直球を完璧にとらえて右中間席まで運んだ。4打席目までは無安打も「1打席1打席リセットできている」と切り替えて臨んだ。チーム全員で執念を見せて追いついた試合を、4試合ぶりの1発で勝ちにつなげた。

丸は守りでもビッグプレーがあった。9回1死一塁から広岡の左中間を破りそうなゴロを、フェンス手前でストップ。一塁走者西浦を三塁で止め、サヨナラ負けを水際で防いだ。緒方監督も「あのスライディングしたギャンブルプレーがなかったら負けていた。決勝ホームランは単なる1点じゃない。丸の働きは二重丸だった」と最大級の賛辞を送った。

遊撃田中は難しい打球を次々と処理し、二塁菊池は10回の好守で今季初セーブのジャクソンを助けた。終盤4イニング連続得点の裏で、失点を最小限に防いだ部分も見逃せない。主役となった丸は「月が替わってもいい流れを出して、優勝に突き進みたい」とヒーローインタビューで声高に言った。8月は4連勝締め。貯金は25と今季最多を更新した。球団初3連覇へまっしぐらだ。【大池和幸】