終盤戦に突入した交流戦。今週はセ・リーグ主催の試合が続く。パ・リーグの投手たちは、普段はない打席に備えて準備している。今回の「リクエスト制度」は山ちゃんの「毎年楽しみな交流戦ですが、パ・リーグの投手はどんな打撃練習をしているのですか? 担当記者から見て、実はこの投手が飛ばし屋だ! みたいなのも知りたいです!」にこたえます。

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西武の投手陣がフリー打撃をしていた。鮮やかな柵越えを披露したのは、佐野泰雄投手(26)だった。「柵越えは2本打ちました。打席に立てたら、立ちたいですね」。和光高時代は3番で、通算25本塁打の実績を持つ。

ここ2年快音から遠ざかっている西武投手陣。昨季は0本。今季もまだない。調べてみると、チームの直近の安打は17年6月3日にヤクルト・ギルメットからの右前打。打者は佐野だった。右方向へ引っ張った1本。2年ぶりのヒットへ、準備はオフから始まっている。昨季限りでメジャー移籍した菊池雄星に「バットを残していってください」とお願い。1本だけ残された雄星バット。「1本しかないので、折ったら大変」と大事にしながらも、打席に入れば関係なく振る。

基本中継ぎ起用の佐野が、打席に入るとしたら先発投手の炎上によるロングリリーフ。追う展開で逆境の状況であれば、強く振りにいける。「なかなか難しい条件だと思いますが、打席に入ったら打ちにいきたいですね」と静かに闘志を燃やしている。本職のマウンドでは、11日巨人戦で発熱の今井に代わって緊急登板しながらも、4回1安打無失点と好投した頼れる男。“佐野厄除け大師”の御利益はバットにも宿る、かもしれない。【栗田成芳】