日本ハム加藤貴之投手(26)が大量援護をしっかり守り、今季4勝目を挙げた。立ち上がりからテンポよく内外角を突き、強力な西武打線を翻弄(ほんろう)。5回3安打無失点と大勝の流れを確かなものにする好投で、約1カ月ぶりの白星を手にした。故障離脱した上沢にも届けたかった最高の結果を残して、チームの連敗ストップに貢献した。

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加藤は臆することなく、攻めた。2回に8点の援護をもらっても、姿勢は変わらない。キレのある直球で、西武打線の懐をえぐった。4回2死で対戦した山川には、内角への136キロ直球で詰まらせて遊直。「清水としっかり話し合って、こういう結果になって良かった」。すさまじい援護だけでなく、攻守にも助けられた。「楽な気持ちで投げることができた」と野手に感謝した。

やっと、故障離脱したエース右腕に、先発の白星を届けられた。「一番悔しいのは、上沢。しっかり上沢の分は(カバーしたい)という気持ちはあります」。大黒柱の穴を埋める気概を持って、マウンドに上がっていた。実は、都内の病院に入院していた上沢とは、電話やSNSでも連絡を取り合っていなかった。「連絡を取っていないのは(投手陣で)僕だけかもしれない。連絡しても、変に(気を使われて)返されても困るし」と加藤なりの気遣いで、あえてコンタクトは取らなかった。

その代わりに「結果で示したい」。6月18日DeNA戦で上沢が負傷して以降、苦しんでいた先発陣は8試合連続で白星なしだった。心配をかけまいとチーム全体が気合十分も空回りする試合が続いたが、好漢のサウスポーが負の連鎖を止めた。「上沢を優勝旅行に連れて行けたら。みんな気持ちは一緒です」。この日から2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷でリハビリを開始した上沢にも勇気を与えるような、最高のゲームメークだった。【木下大輔】