広島中崎翔太投手(26)が6月18日ロッテ戦以来、1カ月半ぶりのマウンドで復活を証明した。3点ビハインドの9回に4番手で登板。近本に1安打を許したが、1イニングを無失点に抑えた。緒方孝市監督(50)は今後は僅差のゲームで起用していくことを予告。連勝は3で止まったが、3年連続胴上げ投手の元守護神が戻り、3ゲーム差の首位巨人を追い詰めていく。

中崎の名前がコールされると、マツダスタジアムに大きな拍手が湧き起こった。背番号21の復帰登板に、3点のビハインドを背負う重いムードは吹き飛んだ。元守護神は、トレードマークだったあごひげのない、すっきりとした顔でマウンドへ。梅野をこの日最速145キロの直球で見逃し三振。植田は左飛。2死から近本に左前打を許したが、続く代打高山を落ち着いて遊ゴロに打ち取った。1カ月半ぶりの復活だった。

開幕から苦しんだ。走者を出しながら、何とかセーブを拾う試合が続いたが、失敗も重ねた。6月2日阪神戦で初めてビハインドの展開で登板。守護神の座を剥奪された。「どんな役割でも与えられたところで貢献するのが自分の仕事」。そう話したが立ち直れず、6月18日ロッテ戦で延長11回に4失点。防御率が4点を超え、ついに同20日、出場選手登録を抹消された。

2軍では強いストレートを取り戻そうと投球フォームを一から見直した。7月5日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で初出場。6試合1勝0敗、防御率3・00の成績を残し、同26日に1軍に合流した。それでも、登録の兼ね合いがあり、再登録は31日になってから。この日、ようやくチャンスが巡ってきた。

3年連続胴上げ投手。巨人、DeNAとの三つどもえの優勝争いに向け、絶対に必要な戦力だ。緒方監督は「久しぶりの登板で落ち着いただろうし、それなりのポジションというか、僅差のところの勝ちでも負けでも、1枚加わってもらって」と期待を寄せた。佐々岡投手コーチも「今日のような投球を続ければ(勝ちパターンに)入ってきてくれる。入ってもらわないと困る」と話した。広島が大きな武器を手にした。【村野森】