日刊スポーツ評論家陣が語る「野球塾」は、現役時代に史上最年少のトリプルスリーを達成し、“怪童”の異名をとった中西太氏(86)が初登場です。西鉄、日本ハム、阪神で監督を務めるなど、9球団で指導をした名伯楽が、本紙を通じて阪神期待株の大山にアドバイスの熱血メッセージを送った。【取材・構成=寺尾博和編集委員】
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阪神は今年も助っ人で苦労したね。外国人は右打者が適任というのは甲子園球場の浜風を考えてのことだろう。しかし、わたしは逆に、左打者を取るべきと思ってるんだよ。
右のスラッガーが獲得できればいいが、なかなか大リーグの市場にも右の強打者はいないようだな。左で大きい当たりを打てる外国人に保険も必要だ。ハズレばかり? 周りがちゃんと支えてやることだわな。
開幕から105試合続けて「4番」に座った大山だが、どうも上と下が連動しないね。打者は「タイミング」「ポイント」で打つものだが足元がぐらつくんだね。ひと言でいうならフォームが固まっていない。
なかなか右打者の「1本足打法」というのは難しいんだよ。すり足で打てというんじゃない。左足を上げてもいいが、もうちょっと「粘る」「絞る」「引きつける」作業が出来んのかな。
巨人岡本、ヤクルト村上だって足元がしっかりしてきたから、アウトコースもしっかりと打てるようになった。村上の左への打球はキレなくなった。上と下の連動というのはバッティングの超基本なんだよ。
足元、つまり土台ができれば、自然と手はついてくるものだ。上と下のかみ合わせがよくなれば打てるようになる。今はどうしても低めの球に手をだしてるよな。アジの開きはうまいけど、体が開いては、プロ世界でメシは食えない。
わたしに言わせれば、打撃と守備は無関係ではない。ホットコーナーは難しいよ。例えば逆シングルにしても、ホームにケツを見せちゃあダメだよ。打撃が良くなれば守備も上達する。一にも二にもフォームを固めることだ。そうすれば2割8分、20本は打てるようになる。
阪神はチーム構成上、1番の近本をはじめ左打者が多い。木浪は打つほうがいいが、もっと守備練習をしないと。糸原は躍動感があって、しぶといね。ショートは難しいが、わたしだったら「2番」で使うな。高山もポイントをつかみかけてるね。
阪神は大勢の熱狂的なファンを集客しているんだから、その期待に応える使命がある。タイガースらしい強いチーム作りをしてほしい。
その手助けをするスタッフの人選もチームを左右する。補強を含めて球団フロントの手腕が問われる。チームもCS入りのチャンスはあるんだから底力を発揮してほしいものだな。