平石監督の執念采配で3位に肉薄、去就は一切語らず

<ソフトバンク2-6楽天>◇18日◇ヤフオクドーム

奇跡を起こす挑戦が始まった。楽天が平石洋介監督(39)の巧みな采配で2位ソフトバンクに完勝。2連勝で3位ロッテとのゲーム差を0・5に縮めた。

同点の6回無死一、二塁で藤田一也内野手(37)が右前にバスターで勝ち越し適時打。なお一、三塁で渡辺佳明内野手(22)のスクイズで突き放した。試合前には指揮官が自らの進退について対応。現時点で続投要請がないことを認め、チームの勝利しか考えていないと断言。残り試合を全て勝ち、逆転CS進出に突き進む。

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執念を宿した。6回無死一、二塁。平石監督は勝利をもぎ取る最善手を探した。「いろんな場面で確率が高い方を選びました」。打席には藤田。ベテランの対応力にサインを決めた。

藤田はうなずき、のみ込んだ。「バントのサインだったけど、チャージをかけられたら切り替えていいと」。初球。投手高橋礼にバントの構えを見せた。外角に外れる球にバットを引く。シフトを敷いた一塁内川が眼前に突っ込んできた。「結構なチャージだったのでもう1回来るかな」。

腹をくくった。2球目。ど真ん中の133キロ直球にバントの構えから一転、思いきり引きつけて振り抜いた。「ファウルでもいいから思い切りいった。当たらなくてよかったです」と、痛烈な打球はチャージしてきた内川の脇を抜け、一塁線を破った。バスター成功。経験値に裏打ちされた、勝ち越し適時打だった。

流れをつかむと、平石監督はしつこくたたみかけた。なお一、三塁で渡辺佳にスクイズのサインを出した。一塁側に転がさせ、37歳の内川を再び走らせた。チャージに勢いはない。三塁走者は余裕で生還。いやらしく攻め、勝利への道筋を明確にした。「佳明のバントもよかった」と仕事を完遂したルーキーをほめた。

負けるわけにはいかなかった。試合前、自身の去就について口を開いた。「全く球団と、その話はしていないですね」。現時点で球団からの続投要請はない。結果を残しても退任の可能性が高まっている状況だが「指導者になって、来年の自分のことを考えてやったことはない。残り8試合をどうやって勝つために戦うか。それ以外にしゃべることはない」ときっぱり言った。立場や役職にしがみつく気はない。CS争いまっただ中のチームが、残り試合を全て勝つことだけを頭に描いていた。

だからこそ一戦必勝の日々が続く。「残り8試合」と言った初戦を勝ち、2連勝。19日は3位ロッテとの直接対決に挑む。「直接対決で気合が入ると思う。思い切ってぶつかっていきたい」と力を込めた。逆転CS進出へ、全て勝つだけだ。【島根純】

▽楽天安部井チーム統括本部長(平石監督の来季去就に)「我々としてはそういう話は全くしていない。1試合、1試合戦っていく大事な時期。現在のシーズンをやっていくだけ」

▽楽天ブラッシュ(1回、2点目の適時打)「負けられない試合だからね。自分も続けてよかった」

▽楽天渡辺佳(6回無死一、三塁でスクイズを成功)「チームに全然貢献できていなかったので、決められてよかった」

▽楽天松井(4点リードの9回に登板。無失点で試合を締める)「負けられない試合が続くので。しっかり0に抑えていきたい」

その他の写真

  • ソフトバンク対楽天 1回表楽天1死二塁、ブラッシュの中前適時打で生還する浅村を笑顔で迎える平石監督(左から3人目)ら(撮影・今浪浩三)
  • ソフトバンク対楽天 バットを振る楽天平石監督(撮影・今浪浩三)