帰ってきた「ちょっと年上のお兄さん」が活躍に不可欠な“心のゆとり”を伝授する。日本ハム武田勝投手コーチ(41)が23日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で、矢野謙次外野守備コーチ兼打撃コーチ補佐(39)とともに就任会見に臨んだ。技術とともに精神的な強さを育むべく、現役時代からユーモアあふれる愛されキャラを指導者としても継続。「遊び心」を交えながら、選手に寄り添って最強投手陣の構築に尽力することを誓った。

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現役引退から3年。ついに復帰する武田投手コーチが語った指針は、柔らかな口調でも、芯が強かった。「同じ立場で、同じ悩みを、同じように抱えながら、同じ方向性へ向けて解決していく。ちょっと年上のお兄さんみたいな感じになってあげられたらいいな」と、指導者としての目指す理想像を明かした。

その中で、同コーチらしいアプローチをしていく。「いつも私が思っている“遊び心”を交えながらピッチャーを育てていきたいと思いますので、そこに注目していただきたい」。引退セレモニーでオカリナを演奏したように、現役時代は野球だけで視野が埋まることはなかった。「真面目にやっただけでは結果を残せない世界。ダルビッシュや大谷も、その“心”があったからプラスアルファの力が生まれた」と指摘した。

選手の心の幅を広げるために、遊び心のあるコミュニケーションが重要なツールとなる。「ふざけた中にもヒントが隠されているぞ、と最初に言ってあげたい。勝っても、負けても、打たれても、抑えても、楽しんでほしい。結果を受け入れられる選手になってほしい」と青写真を描いた。

チームは今季からショートスターターなど新戦術を導入した。「何がいい方法となるのか、投手コーチ3人で話し合って監督とも情報共有した上で、選手のストレスにならないように環境作りをしたい」と意気込む。会見に同席した栗山監督も「とにかく武田勝らしく、やってほしい」と期待した。秋季キャンプ途中からの合流となりそうだが、武田勝流の選手ファーストで力を尽くしていく。【木下大輔】