阪神藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)が日刊スポーツの新春インタビューに応じた。3回連載の最終回は、今後のタイガースのあり方についてです。藤原オーナーが描く阪神とは、甲子園とは-。【取材・構成=寺尾博和編集委員、松井周治】

-藤原オーナーはシーズン後の矢野監督から報告を受けた際に「フロントもしっかりしないといけない」と言われた。フロントも戦わないといけないという意味ですか

藤原オーナー(以下、藤原) 例えばタイガースにトラックマンを入れさせてくれ、と。(重要なのは)どう使うのかです。この投手はこういう投げ方をしているとか、ありようは分かった。それがどんな問題で、どう解決していくと勝てる投手になるのかとか、どう変えていくと、長打がでるようになりますか。これなんですよ。スコアラーであったり、コーチングスタッフがいかに活用していくか。しかし、そのコーチングスタッフやスコアラーは目の前の試合に集中しています。そのときにそれを研究していくのがフロントだと思います。

-任務は多岐にわたる

藤原 球場にいらっしゃってくださるファンのみなさんがタイガースと一緒になってエキサイティングになっていただく、これをやるのもフロント。私は甲子園球場の形や、大きさ、なだらかさ、スコアボードなど、いいなと思うんです。こういういいところで選手がファンのみなさんと一緒に戦っている、うれしい気持ちになれる、ファンのみなさんも心から一緒に戦ってくださる、そういうことを考えるのもフロントの仕事です。実はラグビーワールドカップ(W杯)のニュージーランド-イングランドの試合を、ありがたいことに見に行きました。試合が瞬く間に終わりましたよ。一瞬で終わったと思うくらい、吸い込まれるようなゲームなんです。そういうスタジアムにしていくことが、今後みなさんに野球を愛していただける根幹じゃないかと思います。

-そういう意味では球場と球団の一体化というのも1つのテーマ

藤原 いいことだと思います。

-甲子園歴史館も含めて。甲子園の駅前も整備されている段階で、大きな意味でのボールパーク化を考えていますか

藤原 必要と思いますね。野球を見ながら、エキサイティングな雰囲気を、いかにつくっていくか。ただ、そのためには選手は超一流でないといけない。

-チームをつくる点では2軍も重要。鳴尾浜ですが、近年は移転の話題が出ています。どういう方向性で考えていますか

藤原 大きいところに変えてあげたいなというのはあります。できるだけ甲子園に近いところでそういう施設をつくりたい。

-本年度中に方向性は出ますか

藤原 継続的に検討はしてもらっています。いろんな場所もでてきていますが、それぞれに我々だけで決められる問題ではありません。雨の日でも練習できる施設もつくって、強化に結びつけてあげたいですね。鳴尾浜というのは確かにお客様に来ていただけますが、(より多くの)みなさまに見ていただけるところでやる方が絶対にいいじゃないですか。これも経験ですよ。できるだけ早くなんとかとは、私も思っています。

◆藤原崇起(ふじわら・たかおき)1952年(昭27)2月23日生まれ。大阪府立大から75年に阪神電鉄入社。常務取締役などを経て、11年4月に代表取締役社長、阪神タイガース取締役、同年6月に阪急阪神ホールディングス取締役に就任した。17年4月から阪神電鉄の代表取締役会長、同6月から阪急阪神ホールディングス代表取締役を務め、同12月から球団オーナー代行者。18年12月1日付で球団オーナーに就任した。