球界最年長の阪神福留孝介外野手(42)が自身の野球観を日刊スポーツにつづる「福留STYLE」。20年最初のコラムです。43歳シーズンに臨む大ベテランは今年のテーマに「最」という1字を選択。その真意とは? 復活を期す藤浪晋太郎投手(25)には、福留流エールを送りました。【取材・構成=桝井聡】

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キャンプは順調と言うか、思っているよりは早めには来ています。もちろん、開幕が去年よりも9日早いというのは意識しながらやっています。試合に出るのも、もうすぐだと思います。ただ、そこに合わせてやっているのではなく、1回、自分の身体を張る状態にさせてとか、どうやってシーズンに入れるかということを今は意識しながらやっている。オープン戦の試合数も多くないし、チームの兼ね合いもあるけど、出来るだけ打席に立ちたいとは思っています。

今年は球界最年長という言葉が付きまとうけど、年齢でこうだというのは考えていない。長くやっていれば、そういう風にも言われる。数字だって長くやっていれば、付いてくるものだから。日本だけで2000安打(あと103安打)とか、いい目標になるかもしれないけど、そこを目指してやっているわけではない。1本目、2本目って数えてプレーするわけでもないし、数えるのは僕の仕事じゃないですから。自分のことは二の次でいいんです。チームが勝つ。優勝することが一番の目標。あと何? と言われても本当に何もない。

今年の1字と言われれば「最」。これかな。周りから言われる「最」年長というのもあるけど、やっぱり「もっとも」という意味なので、「最」後までやりたい。いろんな意味で「最」という字がいいんじゃないかな。「最」高の準備もしないといけないだろうし。やっぱり「最」後までやりたい。それが目標だからここ(沖縄)に来て、ずっとやっている。

去年は終盤に連勝(6連勝)してクライマックス・シリーズに出場することができた。それはいい意味で自信にすればいいと思う。ただ、じゃあそれが絶対的な力なのかと言われたら、そうかなというところもある。たまたまじゃなかったというのは、今年どうやってやるかじゃないかな。

若い選手を見ていると、自分たちで考えていろんなことをやっている。そういう段階に来ていると思う。少しずつみんなが変わろう、いろんなことを考えてやろうってなっているんじゃないかと思う。

晋太郎なんかはすごく注目されるけど、本人が一番そう(変わろうと)思ってやっているんじゃないかな。周りの人がどうのこうのというのは気にすることはないよ。本当にそう思う。マウンド上でプレーするのは本人なんだから。周りがあーだ、こーだっていうのを気にせずにやってほしい。言ってしまえば、もっと自己チューでいい。どんどん自分の思うようにやっていけばいい。最終的にやるのは本人だから。周りがどうとか、周りの評価がどうとか関係ない。

キャンプでは若い選手と話す機会も多いけど、今年に関しては何を言うとか考えていなくて。どちらかといえば「聞き役」になろうと思っている。どういうことを考えて、思ってやってるか。こっちからの一方通行じゃなくて。聞いていろんな話をして。それで納得してやるのと、そうじゃないのとでは違ってくる。やっぱり昔とは違うから。球児とかもそう思ってやっていると思う。若い選手の話を聞いている。時代です(笑い)。昔のやり方では通用しません。

若い選手にはやっぱり優勝を経験してほしい。優勝っていいなって経験すれば、大きく考え方も変わる。もちろん、自分だって最後の最後までやりたい。出られる状態にいないといけないし、どれだけその状態に持っていけるか。考えてやらないといけない。(阪神タイガース外野手)