東日本大震災から9年。野球人たちが、それぞれの決意を口にした。ふるさとに思いをはせて発奮する東北出身の選手に、自らの使命を再確認する選手や監督…新型コロナウイルスの影響で開幕延期が決まった直後に訪れた節目を追った。

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岩手・花巻市出身の広島高橋樹也がプロ入り初めて「3・11」に1軍マウンドに上がった。先発遠藤の乱調で急きょ4回に登板機会が訪れた。「地元東北を中心に被害に遭われている方がたくさんいる。忘れられない出来事…。頑張りたい」。思いが球に伝わったのか、DeNA宮崎に投じた147キロは自己最速を更新。相手打線の中軸を、わずか10球で3者凡退に切った。すべてゴロアウトに「理想の投球」とうなずいた。

東日本大震災の発生時は中学1年生で、学校にいた。内陸部で津波の影響は受けなかったが、家の中は家具などが倒れていた。進学した花巻東には両親を震災で失ったチームメートもいた。「野球ができることに感謝して頑張りたい」。特別な日を初めて1軍で迎え、思いを球に乗せた。「シーズンでも出せるように、もっともっとレベルアップできるように頑張っていきたい」。初の開幕1軍へ-。特別なマウンドで決意を新たにした。