やっぱり、頼りになります。3日に38歳となった楽天藤田一也内野手が8日、ソフトバンク2回戦(ペイペイドーム)で今季初タイムリーを放った。序盤から点の取り合いとなる展開で、6回に貴重な2点適時二塁打。限られた出場機会の中、準備に手を抜くことなく、後輩たちにも経験を惜しみなく伝える。13年のリーグ優勝、日本一を知るベテランが、2位ロッテに2差で首位を走るチームを下支えする。

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心から叫んだ。「よっしゃー!」。楽天3点リードの6回2死一、二塁。代打藤田がソフトバンク岩崎の外角150キロをたたいた。ベンチからの「おぉ!」の歓声に乗った打球は左中間を破る。2者が生還。二塁に到達した藤田は歓声に右拳を挙げて応え、ほえた。「まだ試合がどうか分からない状況の、チャンスの場面で使ってもらった。しっかり結果を残したいという気持ちで打席に入って、最高の結果になって良かったです」。気迫がバットに乗り移った。

プロの世界で15年戦い抜いた経験が今を支える。今季9試合目、6打席目での初適時打。代打、守備固めでの起用が続くが、準備を決して怠らない。試合前練習では軽快にノックを受けながら、後輩への助言も惜しまない。

準備、予測を繰り返し、出番に備えた。5回を終え8-6で2点リード。点を取っては取られの展開が続いた。「いつもは中盤くらいで準備することが多いですが、今日はどっちに流れがいくのか分からない展開だった。いいところで回ってきたらあるかなと思っていたので、早い回から準備はしていました」。ベンチからチームに貢献できる場面を探り、イメージを繰り返す。チャンスは決して逃さない。

三木監督も「いろんな経験のあるプレーヤー。本当にうちにとって貴重な選手」と信頼を置く。「いろんな持ち味がある中で1つの持ち味の勝負強さをいい集中力の中で出してくれた。非常にチームとしても大きなプレー」と一打を評価した。

適時打後に代走を送られた藤田は、歓喜にわくチームメートに出迎えられた。「最高の気分でした。今日みたいな起用が続くと思う。起用されたところでしっかり結果が残せるように、もっといいところで打てるように心がけて、チームの流れに乗っていきたいです」。ここぞの場面で生きざまを見せる。【桑原幹久】

▽楽天涌井(5回124球6失点も自身4年ぶりの開幕3連勝)「監督とピッチングコーチが勝ちを付けさせてくれたのかなと思う。一番は打線に感謝です」