18年の新人王、楽天田中和基外野手(26)が本領を発揮した。オリックス戦に「2番右翼」でスタメン出場。先制の3号2ラン、リードを広げる4号ソロの2発をいずれも右打席でかっ飛ばした。スイッチヒッターながら、昨年は左手三角骨を骨折したため、負担のかかる右打ちを一時封印した。この日の2本に両打ち復活の意気込みが表れた。

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本当に貴重な2発だった。初回、田中は山崎福の真ん中に入ってくるカーブを捉え「手応えは完璧」という先制の左2ラン。5-3の5回には「少し泳ぎましたけど、うまく引っ掛かってくれました」とチェンジアップを左翼最前列へ運んだ。守護神ブセニッツが1点差に迫られる辛勝。何とか5カードぶりのカード勝ち越しを決め、三木監督も「終わってみれば和基の2本目のホームランが大きかった」と喜んだ。

今季1、2号はいずれも左打席。この日の2本を右で打てたことに意味がある。田中は昨年5月、右打席でより負荷のかかる左手三角骨を骨折。ケガが治り、実戦復帰した後も一時的に右を封印した。結局、出場は59試合にとどまり、右打席で納得のいく練習を積み上げることもできなかった。だが両打ちをあきらめなかった。右の練習を再開した後、昨年8月に打ったシーズン唯一のアーチが山崎福から。この日、再び同投手から2本放ち「(去年)リハビリも一緒にして、気にかけてくれた岡島さんと2人で点を取れたのがうれしかった」と1、2番コンビの活躍を喜んだ。

スピードとパワーを併せもつ。18年1月、前年まで楽天に所属し、西武への移籍を決めた松井稼頭央との自主トレに参加。松井の引退後も同じ練習を取り入れる。「やっぱり僕はスイッチヒッターとして楽天に取ってもらって、スイッチヒッターとして大成したいという気持ちがある」。ポテンシャルが最大限に発揮できれば、憧れの稼頭央のような両打ちになれるはずだ。【千葉修宏】