巨人吉川尚輝内野手(25)がサヨナラ打を放った。9回2死三塁、カウント1-1から広島フランスアの直球を捉え、右前に落とした。

「なんでもいいので、とにかく落ちてくれと思った。思い切って行こうと思ったので、その結果が最高の形になってよかった」。一、二塁間で歓喜のシャワーを浴びた。

今季3度のサヨナラ勝ちのうち、2度のサヨナラ打を放っている。前回は1日のDeNA戦。全員が永久欠番の背番号16を背負った「川上哲治生誕100年記念試合」で打った。同戦の先発もエース菅野で、8回に走者を背負った状態で降板。中川が同点に追い付かれ勝ち星が消えていた。菅野が投げる試合は落とせない。吉川尚は「エースが投げる負けられない試合。同点に追い付かれたけど、全員が集中力をきらさずに」とこの日も執念で勝利に導いた。

今の姿は、2カ月前からは想像もできない。7月9日の阪神戦前、原監督から熱心に指導を受けた。直近出場7試合で13打席1安打。2割8分6厘あった打率は2割6厘まで下がっていた。原監督に「あれが本来(の姿)だったら、改名せにゃいかんよ。名字から悪川かな。悪川君。吉川君にならなきゃ」とハッパをかけられた。

指導を受けた2日後には本塁打を放つなど、徐々に調子を上げ、7月の月間打率は2割6分3厘まで上昇。8月に一度調子を落としたが、9月の月間打率は3割9分7厘をマークする。原監督は「勝負強さも、存在感も出てきて、素晴らしい」とたたえた。「吉川君」の一打でチームは50勝一番乗り。優勝マジックを30に減らした。