優勝争いは時に苦しい。そんな時、必要なものは何だろうか。ソフトバンクで何度となく経験してきたロッテ福田秀平外野手(31)の答えはシンプルだ。

「元気、明るさだと思います。野球を元気に明るくやることだけ」。

後輩たちにも「いい経験になるので、気負うんですけれど、楽しめるように。いい経験と捉えて楽しんでほしいです」と願う。

1万2000人以上のファンが観戦しても、その高い声はよく響く。「どんなに打てなくなっても、そこだけは」とこだわる。

今日も悩める安田を、ひと言で送り出した。「ひるんだら負けやぞ」。ミスをした選手、不調の選手に積極的に声をかける。ベンチの前向きなムードを、一生懸命作り上げる。

勝負勘も、古巣で培ったたまものだ。5回に0-3とされ、3連敗の気配が漂い始めた6回。無死一、二塁から、見事な同点3ランを放った。

代名詞のフルスイングではなかった。外に逃げるチェンジアップをうまくバットに乗せ、巧みな体重移動で右翼席へ運んだ。「次につなげる意識で入っていますし、あの結果はたまたま。最高の結果になってよかったなと思います」。

この日、もし負けていれば3連敗。首位ソフトバンクとも3ゲーム差に離されるところだった。福田秀の1発がなければ、どうなっていたか分からない。チームを救い、自身も上向きにする、価値ある3ラン。ベンチでは、仲間たちが明るく元気に待っていた。【金子真仁】