オリックスのドラフト1位・宮城大弥投手(19=興南)が、19年ドラフトの高卒投手で1軍初マウンド一番乗りを果たした。

先発で5回2失点の力投。リーグの高卒新人左腕ではドラフト制後初となる初登板初勝利はならなかったが、再三のピンチに屈しなかった。ロッテ佐々木朗やヤクルト奥川より早いデビューで、中嶋監督代行は「今の段階であそこまで投げられるというのは、ちゃんとした戦力」とその実力を認めた。

初回1死一、二塁。気合のこもった147キロ快速球に楽天浅村のバットが、豪快に空を切った。「次につながる。自信になった球でした」。4回2死二塁で小郷の打球を止めにいって左足に当て、一、二塁間を抜ける不運な当たりで勝ち越された。試合を作っても勝敗はつかず「甘いところがある。そこを直していければ球数少なくアウトを取れる」と胸に刻んだ。

支えたいと周りに思わせる空気がある。朝9時過ぎ。投手陣の練習用具を運びながら、グラウンドに現れた。若手の仕事をこなそうとすると、山岡がランニングをやめて駆け寄った。恐縮する宮城から荷物を奪い、エース自ら外野に運んだ。プロ初登板を控えた19歳への気遣いだった。初バッテリーを組んだ伏見も「必死に投げている姿に心を打たれた」と胸を熱くした。せめて勝ち試合にしてやりたいと、決勝打を放った。

4歳のとき、苦しい家計の中で買ってもらった700円のグラブに夢を見た。具なしカレーの夕食に「活躍しておいしいものを家族と食べたい」と誓った。懸命に野球に向き合う姿が周囲に伝わり、中嶋監督代行は「誰もが勝ちをつけたいと思っていた」。心身の消耗を考慮し次回登板は先になるが、ローテーション投手になれる力を証明。勝たせてやりたい投手は必ず、勝てる投手になる。【堀まどか】

◆宮城大弥(みやぎ・ひろや)2001年(平13)8月25日、沖縄県宜野湾市生まれ。興南では1年春からベンチ入りし、甲子園2度出場。3年夏は日本代表メンバーに入り、U18W杯出場。19年ドラフト1位でオリックス入団。今季2軍では11試合に投げ、5勝2敗、防御率2・90。今季推定年俸770万円。171センチ、83キロ。左投げ左打ち。