1990年代の「世紀のトレード」で阪神からオリックスに移籍した右腕が、奪三振記録を塗り替えた。松永浩美との大型トレードでオリックス入りした野田浩司さん（52）は、93年4月21日近鉄戦の15奪三振に始まり、16、17とさらに記録を伸ばし、2年後の95年4月21日ロッテ戦で1試合19奪三振の日本記録を樹立。25年たった今も超える者のいない記録が生まれた日を、野田さんと振り返る。

＜取材後記＞

15奪三振は、野田さんのパ・リーグへのあいさつになった。オリックス移籍1年目の93年、4月21日近鉄戦（日生）のパ初勝利を、野田さんは15奪三振で飾った。オープン戦は絶不調で、シーズンは黒星スタート。近鉄戦は2戦目だった。「1、2回で3発打たれてベンチに帰ってきたとき、あるコーチに『パ・リーグの野球、なめんなよ』って怒られた。それで闘争心に火が付いて、3回から全球やけくそで投げました」。結果は152球15奪三振5失点完投。シーズン17勝の第1歩になった。

「ぼくはゴロを打たせようと思ったことは、1回もない。ゴロを打たせる術がない。追い込んだら三振狙うし、ピンチで打者を打ち取る術は見逃し、空振り、ファウル。球種の少ない投手の宿命かもしれないけど」と野田さんは振り返る。まさに、三振を取るために生まれた投手だった。