日本ハム西川遥輝外野手(29)が西武12回戦(メットライフドーム)でプロ野球史上30人目、現役選手では単独トップとなる通算300盗塁を達成した。8回1死一、三塁の場面で、一塁走者として今季13個目の盗塁となる二盗に成功。スピードスターのメモリアル盗塁からチームも3得点を追加して試合を決め、25日に消えていた自力優勝の可能性を復活させた。

   ◇   ◇   ◇

成功への確信を持って、スタートを切った。8回1死一、三塁。一塁走者の西川は打者野村の2球目に二盗を試みた。2点リードの終盤。次の1点が重くなる試合展開。三塁走者は俊足の浅間。相手バッテリーが重盗を警戒し、二塁へは投げてこない可能性が高いケース。300盗塁以上の選手で歴代1位の成功率8割5分7厘を誇る男は、記録達成への状況が、ことごとくそろった条件下で二塁へ滑り込むことなく、今季13個目、史上30人目で現役では単独1位となる通算300盗塁に到達した。

西川 前回の200盗塁も盗塁が付かなくて、やり直しの200盗塁とか…。僕らしいですね。

3年前の18年シーズンに達成した通算200盗塁は一度、幻の記録達成があった。3点差の9回1死二塁で三盗を決めたはずが、相手内野陣が無警戒で記録は認められず、後日に達成。この日は僅差の中での二盗で記録員からも「記録は盗塁」と、すぐにアナウンスされた。試合を完全に決める3点が入った、勝利へつながる大きな節目の盗塁となった。

記念パネルを手に場内のファンへ頭を下げた場面は、少し笑みもこぼれた。「長いこと、チームがパネルを遠征に持ち歩いてもらったので申し訳なかったです」と、内心では思っていたという。13日ソフトバンク(ペイペイドーム)で通算299個目の盗塁を決め、日本ハムの背番号7の先輩でもあり、オフの自主トレでも世話になってきた阪神糸井と並んでいたが、2週間後、ついに大きな背中を追い越した。

もちろん盗塁だけではなく、この日は3四球を選んで出塁を続け、攻撃の核となって勝利に貢献した。「(1番浅間)ダイキも調子いいので何とかつなげたらなと思って打席に入っていた。1、2番が機能したら、こういう試合展開になるということが分かった」。シーズンは残り52試合。前キャプテンはやれることを尽くしていく。【木下大輔】

○日本ハム木村(古巣西武相手に7回に右犠飛で打点をマーク)「最低限の仕事はできた」

○日本ハム野村(5回に中前適時打を放ち)「なんとかチャンスで1本打つことができてよかった」